堀口珈琲の堀口俊英さんに物申したい!
堀口珈琲研究所代表、
株式会社堀口珈琲代表取締役会長、
日本スペシャルティコーヒー協会理事、
日本コーヒー文化学会常任理事の堀口俊英氏に物申したい!!!
「スペシャルティコーヒーのテイスティング」という本は、
今年の9月に出版された本で、
その中でマレーシア産のリベリカコーヒーについて触れている。
2019年に直輸入したリベリカコーヒーをテイスティングしたようだが、
結果的にかなり厳しい批評が記載されている。
2024年11月29日現在、
マレーシアでリベリカコーヒーを育てている業者はたくさんあり、
彼らはリベリカコーヒー豆の品質を
少しでも改善できるように、ものすごい努力し、
リベリカコーヒーが少しても広まるように、
少ない資金力で国際イベントにも足を運んでいるのに関わらず、
この2019年に行ったテイスティングの批評的なコメントが
今となって、日本中でひとり歩きして、
とんでもないことになっている。
もはや意味がわからない。
堀口俊英さんがおそらく知らないであろうこと、
これから書くから読んでください。
さて、今回は下記のノートの続編です!
実はMy Liberica社以外で、
リベリカ豆をを広めようと一生懸命努力しているカフェがある。
それは「Earthlings Coffee Workshop」である。
「Earthlings Coffee Workshop 」の取り組み
「Earthlings Coffee」は東マレーシアサラワク州の州都・クチンにあるカフェ。しかし、このカフェは普通のカフェと異なり、創業者のDr. Kenny氏による革新的な取り組みが地元のコーヒー業界に大きなインパクトを与えている。
サラワク州のリベリカ種の中で、生産性が高く、風味が良く、そして環境適応性に優れた品種を見つけるために、全州のリベリカ種のサンプルの収集して、世界の植物学を牽引する英国の王立植物園キュー・ガーデンズ( Kew Gardens)と共同でリベリカ族の根系のDNA 系統を分析し、研究している。
また、ドイツのコーヒー領事館・Coffee Consulate社とも各リベリカ種の独特なフレーバーを解析し、これらの研究で得られた情報やノーハウをなんと!無償で地元のコーヒー生産農家に提供し、より持続的なコーヒー栽培を実現していくと、Dr.Kenny氏は言う。ここからはDr Kenny氏に取材したものを抜粋し、最新情報とともに紹介。
サラワク州におけるリベリカコーヒーの歴史と未来
実は西マレーシアとは別で、東マレーシアのボルネオ島もリベリカコーヒーの伝統的な生産地である。サラワク州とボルネオ島の内陸部の先住民族コミュニティにおけるリベリカ種コーヒー栽培の歴史は長く、熱帯雨林の高地から川の谷(平地)までのリベリカ種の多様性とその可能性が非常に高いことから、どんな方法を使い、先住民コミュニティとの信頼関係を築いて、効果的な品質管理システムを確立し、それによってリベリカ種がスペシャルティコーヒー市場に参入していけるのか?!また、自然農法を重視した「リベリカ精製プロジェクト」を時系列で紹介。
コーヒー豆が高騰!
ここ最近、上記のようなニュースを目にすることは少なくないだろう。地球規模の気候変動とその異常気象のさなか、アラビカコーヒーの木とカネフォラコーヒーの木に依存する伝統なコーヒーベルトは重大な障害に直面している。入手可能なさまざまなコーヒー品種の中で、リベリカコーヒーは変化する気候シナリオへの適応性を示す、回復力のある代替品として際立っていることと、マレーシアはリベリカコーヒー種の主な生産国であることは以前のノートで説明済。
約140年近くにわたり東南アジアでリベリカ種が栽培されてきたにもかかわらず、マレーシアは輸出市場で大きな牽引力を得るのに苦労している。そのせいで、マレーシアが近隣諸国からリベリカコーヒーを輸入しなければならなかった例もある。広大なボルネオ島に位置するサラワク州はマレーシアの最大の州で、リベリカコーヒー栽培を促進するために、中央政府と地域の農業団体の両方が一貫した努力を行ってきた。しかし、都心から離れている先住民コミュニティへのコーヒー苗木やさまざまな植栽資材を配布しても、収穫量が予想を下回ったり、マーケット需要とずれたり、地元の農家がコーヒー栽培から最終的に撤退したりするなど、結果は残念なものとなることが多かったからなのだ。
上記の苦境の根底にあるものを掘り下げるために、クチンから約 600キロも離れているマルディ地区にある村(Long Banga village・ロングバンガ村)に協力を求め、先住民コミュニティーと協力的パートナーシップを通じて、生産方法を最適化し、製品の品質と市場価値に関連する問題に対処し、マイクロ成功事例を提供することで、サラワク州全体の他のコーヒー生産者にとって顕著なベンチマークとして機能を見出していきたい。
といっても、どうやって掘り下げるん?
コーヒー生産者と継続的な議論と交流を行い、一緒に利回りを予測し、改善計画を立て、投資計画を管理していく。地元の先住民の文化と自然環境の保護を確保しながら、運営慣行も強化していく。そして、地元のコーヒー農家のニーズに応え、コーヒーの栽培、加工方法、品質の格付けに関する知識を共有し、最終的な目標はスペシャルティコーヒー業界の基準に従って品質向上度を評価すること。
また、コーヒーの格付けと鑑定としての評価方法も徹底していく。最先端な分析機器を使用して、コーヒー生豆の水分含量が国際コーヒー機関の輸出基準を満たしているかどうかを評価。そして、アメリカスペシャルティコーヒー協会などの組織が提供するコーヒー欠陥ハンドブックにあるものと同様の基準に基づいて、コーヒー生豆の視覚的欠陥を評価するための等級付けシステムを確立。さらに、コーヒー品質協会 (CQI) と同様のフレーバー評価ツールを使用して、コーヒーのフレーバー品質の改善を評価し、最終製品に対する市場のフィードバックを観察していく。
そもそも、リベリカ豆ってどうやってサラワク州にたどり着いた?
1866年頃、サラワク州はかつての大英帝国体制内で貿易を行っていたラジャ・ブルックス家によって統治されており、2代目のラジャ・ブルックスであるチャールズはセイロンにコーヒー情報を求めた際、アラビカコーヒー入手し、アラビカコーヒーが植えられていたが、環境などの要因により成功しなかった。1879年までにアラビカ種に代わってリベリカ種が導入され、セグ、サタップ、ビントゥルなどの地域を含むサラワク州全域に広く栽培されるようになり、やがてローマカトリックの宣教師がコーヒーを監督するようになった。イバン族や他の先住民族にとって主要な換金作物となった。
しかし、ボルネオ島の緑豊かな熱帯雨林の中に隠されているのは、サラワク州とインドネシアのカリマンタン島を分ける微妙な政治的境界線であり、その長さは 1,000 キロメートル (具体的には 1,032 キロメートル) を超え、サラワク州のコミュニティとカリマンタンのコミュニティを結ぶ監視されていない部分が存在する。今日に至るまで、彼らはお互いに訪問し、物品を交換するという古くからの伝統を続けており、これには密輸品や労働力の共有が含まれることもあると言われている。近年でも、インドネシア国境からサラワク州にコーヒーの苗木を密輸する人々が報告されており、その結果、サラワク州の地元で栽培されているリベリカコーヒーと西マレーシアのコーヒーの間に大きな違いが生じていて、地元の農家はMARDIの開発したMKシリーズのリベリカコーヒーを栽培することはほとんどない。
最近クチンで行ったカッピングセッション中に、サラワク州の先住民のリベリカコーヒー農家と協力して、西マレーシア、インド、カリマンタン、サラワク州の低地と高地からのものを含む20の異なるリベリカのサンプルをテストした。 (Excelsa サンプルも含まれている)
これらのリベリカ品種には大きな風味の違いがある。
別の観点から見ると、リベリカコーヒーは大きな可能性を秘めている。リベリカコーヒーの風味特性に関しては、2019 年のリベリカコーヒー国際焙煎コンクール中に世界中の専門審査員の記録に基づいて包括的な風味レポートがまとめられたものがある。あの独特の風味が特定の市場で個性的な魅力として評価されていることはさておき、リベリカの栽培者は依然として多くの課題に直面している。供給源が多様であるため、サラワク州で栽培されるリベリカもその品種に関する複雑な問題に直面している。
では一体、どんな問題があるん?
まず、各種の外観の類似性から区別が難しいこと。例えば、コーヒー花の花びらについては、アラビカ種は5~6枚、カネフォラは6~7枚、リベリカ種は7~8枚であるというのが一般的な見解だが、ここで見つけたリベリカにはまったく当てはまらず、花びらの数は5枚から9枚だった。花は白の他に、ピンクもあり、リベリカの木には、花が非常に小さく、花びらが短く丸いものがあり、コーヒーの花の細い花びらではなく、ジャスミンの花のミニチュアのように見えるものまでがある。
また、栽培地の標高の違いでリベリカ豆の形状に及ぼす影響について。一般的に市場で見られるリベリカコーヒー豆は、アーモンドに似た大きくて膨らんだ細長い豆が特徴で、主に低地で栽培され、高地ではほとんど見られない。しかし、サラワク州の高原で栽培されるリベリカ豆は多くのアラビカ種の「硬い豆」に似ていて、中心のカットがきつめで、豆のサイズが小さく、密度が高い!!また、味にも顕著な違いがある。同様の特徴が、インド南部の高地地域と標高 500 メートル付近のサラワク内陸部のリベリカ種でも観察されたとのこと。
上記のような客観的条件を考慮すると、地元のリベリカのタイプには大きなばらつきがあることから、「果肉除去」のプロセス中に、生のコーヒー豆が壊れやすくり、降水量が多いボルネオ島では、発酵と乾燥を一貫して行うことが困難である。 しかし、別の観点から見ると、リベリカ品種のさまざまな形や色はすべて、異なる風味特性を育む可能性のある遺伝子の宝庫でもある。
深煎り条件下では品種間の味の違いが非常に少なく、ほとんど意味がないため、伝統的に深煎りコーヒーに慣れている地元の市場にとって、これ以上浸透していくことは極めて難しい挑戦となるが、浅煎りスペシャルティコーヒーの風味特性が良いとされる市場であれば、これらの品種は非常に重要なものになると見ている。
<<続く>>