子ども自転車(異星人付き)は音楽で夜空を飛ぶ ①
1982年公開ですか。何年か前に、地元図書館の棚で見かけたので自宅の PC で視聴して、恥ずかしながら涙ぐんでしまいました。スピルバーグの演出はあざとさやカメラ小僧(昭和っぽいですね)臭があって今一つ手放しで賞賛できないのですが、この映画についてはそれらがほぼすべてにおいて吉と出ました。凶と出たのが「太陽の帝国」…それは置いといて、とにかく「ET」は分析しがいのある映画だと思いました。音楽について今回分析します。
♪ ド~ソ~ファミレミド~ソ~
ジョン・ウィリアムズの映画主題曲は、映画のタイトルからさっと誰でもハミングできてしまうのが強みです。「ハリーポッター」のメロディを私はぱっとは歌えないけれど「スター・ウォーズ」ならあのテーマ曲と帝国のマーチをそらでハミングできます。「ET」のテーマ曲もそうです。
楽譜が読めない方でも「♪ ド~ソ~ファミレミド~ソ~」とドレミ文字が並んでいるのを見れば、おそるおそる口ずさんでいくにつれて「あああの曲か!」とピンとくるわけですよ。
もっとも、
♪ ド~ソ~ファミレミド~ソ~
ラ~ラ~ソファ♯ミファ♯レ~シ~
レ~ド~シラソファミ♭~ド~
ドシドレミ♭~ド~ド~シ~
空でここまでドレミで歌えるひとはあまりいないと思います。私もできません、上の楽譜を見ながらでないとね。
いやすごいわこの音符の選び方。耳コピにあたって、私ですらかつて間違って拾っていました。その後、楽譜にあたってみてようやく聞き違いに気がついて orz (上の楽譜は正しいものです)
どういう風にすごいのかというと…この映画の公開は1982年でしたね。今年2023年で何周年かな…時が過ぎているのに、これまでまともな分析を私は見聞きしたことがない――そのくらい超越した名曲ってことです。
そんな名曲中の名曲の凄さを分析できてしまう俺の耳と頭スゲー!!! な自尊心を今はぐっとこらえて、順に分析していきませう。
最初の1~2小節。 ♪ドーソーファミレミドーソー 印象的なフレーズです。これの骨格はですね――
これです。
ド➚ソ➘ド➘ソ
「ソ」が二回出てきますね。二度目のは1オクターブ低い「ソ」です。(オクターブってなんだべ?な方は検索けんさく)
ジョン・ウィリアムズの代表曲といえばこれ。
ドーソー、ファミレドーーソ
で始まる。ド➚ソと駆け上がる。これかっこいい。雄々しい。
この曲の場合、
ド➚ソ➚ド
が基本骨格です。しかし「ET」のテーマ曲は違う。
♪ドーソーファミレミドーソー
つまり ド➚ソ➘ド➘ソ と、「ソ」に駆け上がった後、なんと1オクターブ下に「ソ」が垂れ下がるの。雄々しく駆け上がった…と思ったら ♪ファミレミドー♪ と舞い降りだすのです。
まるで小さな子どもがちょこまかと階段を駆け下りていくかのように。
この ♪ファミレミドー♪ な下降ちょこまか旋律は、私ずっとエリオットくん(10歳)の心を表したものだと思ってきましたが、今はちょっと考えを変えています。 このちょこまか旋律はETの表現ですね。ちょこまかと短い脚で歩き回る姿。
そして ♪ドーソー♪ と下降していく。
ド➘ソ
最初に「ド➚ソ」と空に駆け上がり、
「♪ ファミレミドー」でちょこまか歩き、
「ド➘ソ」で滑空状態に入る…
ちなみに左手パート(和音)は
ド ド
ソ
ド ド
の連なりです。
「ド」が1オクターヴ違いでふたついっしょに鳴ることで、力強さ…というか安定感ですね、ET&エリオットの自転車が夜空に駆け上がり、滑空する。安定飛行。
ドーソー、ファミレドーーソー
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