「戦メリ」は即興的にピアノ再生された
ちゃちゃっといきます。「戦メリ」を貫くのはサブドミ和音。
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しかし微妙に違うサブドミ和音が現れては、次の和音にバトンがわたっていきます。
① ファ・ラ・ド
② ファ・ソ・ド
③ ファ・ド・ミ
④ ファ・ラ・ド・ミ
⑤ ファ・ラ
⑥ ファ・ラ
⑦ ファ・(ラ)・ド・ミ
⑧ ファ・(ラ)・ド
⑨ ファ・(ラ)・ド
⑩ ファ・ラ・ド
⑪ ファ・ラ・ド
⑫ ファ・ラ・ド
⑬ ファ・ラ・ド
⑭ ファ・ソ・ラ・ド・ミ
→ ファ・ソ・ラ・ド・レ・ミ
→ ファ・ソ・ラ・シ・ミ
→ ファ・ソ・ラ・シ・レ
⑮ ファ・ラ・ド・レ・ミ
→ ファ・ラ・シ・ミ
→ ファ・ラ・シ・レ
→ ファ・シ・レ・ソ・ラ
⑯ ファ・ラ・ド・ミ
⑰ ファ・ラ・ド・ミ
⑱ ファ・ラ・ド・ミ
⑲ ファ・ラ・ド・ミ
⑳ ファ・ラ・ド・ミ
㉑ ファ
以上、21か所でしたサブドミ和音の小節は。
⑭ と ⑮ については、それぞれ四種類のサブドミ和音で組み立てられていますが、それぞれワンセットで⑭と⑮とナンバーを付けてあります。
そのほうが私には作業がラクだからです。ほかに特に理由はないです。考えすぎてあれこれ考え込まないよーに。
昭和版「戦メリ」の特徴
ベートーベンの楽譜と違う演奏をすると、クラシックの世界ではブーイングですが、作曲者そのひとが自曲をそのときの気分で違う音符で奏でるのは、ビリー・ジョエルであれほかの誰であれよくあることです。
「戦メリ」もいろいろな音符変更がされてきました作曲者そのひとによって。今回分析しているのは、同題の映画公開とほぼいっしょに世に出たピアノ演奏版です。1983年。昭和58年と呼び変えるとなんだか辛気臭くなる気がするのは昭和への私からの愛憎の裏返しでしょうか、あっはっは。
①~㉑のサブドミ和音を、階名表記で見ていくと、この当時の彼は、和音の微妙かつ繊細な変化には、その後の演奏に比べると、それほど頓着していなかったのかなって感じます。
サブドミ和音といえばファ・ラ・ド・ミ。これらの音が、毎回違う並び、違う順番で現れます。全体の響きは同じなわけですよ。
イントロにおいてはそうではありません。ファ・ラ・ド(⓵)の後には ファ・ソ・ド(②)として再登場したりと、和音構成音のひとつが消えて代わりにテンション音が鳴ったり。
しかし本編(例のメロディが鳴りだす)では、律義にファ・ラ・ド・ミの音が、いろんな並び方、現れ方をして、同じ響きだけど形は毎回違うよーんと意地を通していきます。
この昭和版「戦メリ」が弾きにくいのは、左手がそうやって毎回体位を変えていく作りなので、左利きの彼にとってはともかく私のような右利き且つピアノのおけいこ大嫌い人間にとってはうわ~ん(´;ω;`)ウッ…なのでございます。
原曲はアナログシンセの音色
以下は原曲を、当時の彼が使っていたシンセ・プロフェット5…を2015年に装い新たにしたシンセですがとにかく当時の彼のシンセで、ある方が再現したものです。
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画面四分割のうち左上のが、曲全体のうねうね・うにゅ~とした和声を奏でています。(2:52 まで)
ピアノ版の左手のような、同じ機能の和音を違う風に聴かせるために分散和音にしたりとかの小技は、使っていないです。
シンセで演奏・録音したときのほうが、RS教授にも弾きやすかったと想像します。ピアノで再現するにあたって、いろいろ和音のちりばめ具合を工夫しながら弾いていったのだろう、と。
割と即興的な演奏をして、採譜はその後こつこつ行ったようです。「採譜しててなんか虚しかったね」と後に振り返っています。
ピアノ演奏版(の本人採譜のもの)を、これまでいろいろな方が分析してきました。私もそのひとりです。
しかし本当に分析すべきだったのは、シンセ演奏の原曲のほうだったのではないか… あのピアノ演奏版をシンセで肉付けするとあれになるのではなく、シンセ演奏のあれをどうピアノ曲として成り立たせるかをこそ、聴き取って、その技を学ばないといけないのではないか…
うねうね・うにゅ~と考えるわたくしであります。
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