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天才数学者たちはコンピュータ誕生を予想しないまま予言していた

ゲーデルという名前は、多少でも数学啓蒙書を楽しんだことのある方なら目にしたことがあります。

そうであれば「不完全性定理」の名も、やはり目にしていると思います。

この定理の啓蒙書も、いくつか刊行されてきました。しかしこれがどういう時代の精神や、数学史的な文脈より生まれ生じたものなのか、数学者ダフィット・ヒルベルトの思想遍歴より探っていったのが、この本です。



ゲーデルによる論文の全訳と、その解説。解説編のほうが本体という、摩訶不思議な文庫本です。

この訳者解説を今、再読しています。

解説著者(本書の訳者)さんも指摘しているように、ヒルベルトが推進した形式論理による数学の完全形式化は、今でいうコンピュータ言語そのものです。

コンピュータが発明されるより数十年先行して、ブラウワーやポアンカレやヒルベルトやラッセルといった天才数学者たちが、そうとは夢にも思わないままコンピュータについて真剣に激論していたというのは、実に興味深いことです。

私の父は、大げさに聞こえることでしょうがフォン・ノイマンとアラン・チューリングを師匠に持ったことで人生を切り開いていった男でした。

本人はルネ・デカルト信者、というか『方法序説』を青春のバイブルとして、地方銀行に入れられても腐ることなく、コンピュータの未来に自分の将来を見て取って、独り歩いていきました。

私は今、その源流に迫っていく旅の途中です。



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