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アラレちゃんがメガネっ娘になった本当の理由(その6)

当時の担当編集者さんがラジオで追悼語りをされていました。

「待ってろよ。君以上の才能を見つけるから」

か っ こ い い!


彼の語りについては、後日また語ってみたいところです。今回は鳥先生とマシリト博士の、とある綱引きぶりについて、少しばかりヘンテコな視点から語ってみようと思います。

以下は、これまで何度も取り上げてきたように「ドクタースランプ」第一話の扉絵です。

ご覧の様に単行本収録にあたっては「アラレ誕生!の巻」とタイトルされているのですが…


「ジャンプ」掲載時は、見ての通り「ドクタースランプ」と大きく表示されていて…

アラレ誕生!」は右下の、割と目立たないところにありました。


単行本収録のものをもう一度見てみましょう。

この扉絵がどんなに洗練された技で作られているのかについては、前に分析したとおりですが…


「ジャンプ」掲載時には「ドクタースランプ」と大きくタイトルされていますね。

つまりこのひげのおっさん=ドクタースランプで…

巻ねじ付の女の子に時計回りにいじられている様から、ああなにかスランプ中のおまぬけさんのお話なんだなと演出されているわけです。


ところが最終ページの最終コマでは、全員の視線がこの子に集中しています。


作者さんはこの子を、ドクタースランプことひげのおっさんがどのくらいアホな発明家であるかを読者に見せつけるための、一回きりの登場人物として登場させたのですが…

「ここまで凝った視線構図で囲い込んでおいて一回きりはないだろ鳥くん」と鳥さんが電話で詰め寄ったかどうか存じませんが、ど素人の私でさえ見抜けるのだから鳥さんの鋭すぎる眼力がこの視線構図を見逃すはずがなかったと見ます。

次に第二話の最終コマを見てみましょう。

センベイ博士にほかの全員の視線が集まっています。

どういうことかわかりますか? 作者さんにすれば「まさにドクタースランプですわあっはっはっ」と punchline をさく裂させているのです。

彼の中では主役はセンベイ博士だったのです。


第三話の扉絵を見てみましょう。


「ジャンプ」掲載時には、たぶんこんな風にタイトルが大きく付いていました。


つまり主役はセンベイ博士であると視線が施されているのです。


実際、最終コマでも全員の視線がセンベイ博士に集まっていますね。まさに「ドクタースランプ」だよんと。


こんな風にですね、各回の扉絵と最終コマを順に分析していくと、アラレ(メガネの女の子)を主役に置きたい鳥嶋記者と、ひげのおっさん(ドクタースランプ)を主役と考える鳥山先生とで、見えない綱引きがしばらく続いていたのが感じ取れますね。


タイトルに偽りアリの、名表紙!

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