アラレちゃんは、この扉絵でロボットでなくなった!
前回分析した、この扉絵(連載第二回)について、さらに分析をしてみましょう。
最初にめがねっこ娘さんの、靴下を見てみましょう。
足の裏についてはどうかな? やはり見ての通り、左右で非・対称です。
全身で見てみましょう。縦にまっすぐの線に対して、こんな風に捻じれが仕掛けられています。
一方、ほかの方々についてはどうでしょう。
マス目に埋め込まれたかのようなポーズです。
これ、どういうことかわかるかな? めがねっ娘にコントロールされている機械人形たちだよーんということです。
この娘はアンドロイドとしてこの世に生を受けた(第一話)けれども、第二話扉絵ではもはや機械ではなく、自分の意思を持ち、体温を持ち、茶目っ気と知性を持った女の子として、左右非対称のポーズで座っています。そして生みの親であるはかせを斜め上から見下ろすの。
面白いのは、はかせは顔面こそマス目にはまっているのですが、帽子は斜め方向、タケコプターも斜め、身体の向きも斜めであることです。
下段の三人とは違って、はかせは機械人形になりきってはいなくて、自分の創造物にコントロールされる側になってしまって戸惑っている、そんな様子が、この斜め斜め斜めのポーズによって表現されているのです。
ああそれから、めがねっ娘の頭部は網目からはみだしているのに対し、はかせは網目のなかにいて、天才的なその脳をおさめたお帽子&タケコプター with 受診アンテナのみが網目からはみだしています。
はかせの珍発明は、はかせの自由意志でその頭脳より生まれ、しかし統括するのはめがねっ娘だよーんという映像的宣言に私には思えます。
実際この後このはかせ、毎回変な発明をしています。めがねっ娘に言われてそうするのではなく、自らの意志でです。
第一話でのみ、めがねっ娘は登場する予定だったのが、担当編集さんから「この子かわいいからこっち主役にしないよ」と言いわたされて、嫌々路線変更したのがこの第二話です。その舵きりが、この扉絵に反映されているのです。
一枚の絵でびしっと語ってみせる、こういうところに鳥山先生のグラフィックデザイナー資質を強く感じますね。
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