Thus Created Ryuichi Sakamoto "Merry Christmas Mr. Lawrence" (Part 7)
[Abstract: In this music analysis essay, we delve into the introductory section of "Merry Christmas Mr. Lawrence," a composition that utilizes a 4-bar sequence. This sequence repeats throughout the introduction, demonstrating a captivating balance between consistency and subtle transformation, which sustains a distinct geometric structure. The primary focus of our analysis in this installment is the examination of how the first and third iterations within this section subtly evolve, ultimately crafting a profound sense of cinematic drama in this composition, originally composed for the film of the same title.]
その6からの続きです。
イントロの分析を続けます。
今回行うのは、一周目のその1と、二周目のその1の比較検証です。
聴き比べていただきましょう。
同じ旋律が繰り返される一方で、和音として選ばれる音が微妙に取り替わっています。
どちらも Ⅳ△7 の和音ではあります。「ファ・ラ・ド・ミ」の和音。
ただこの二周目(緑)では、「ミ」が下段でも奏でられています。
ああそれから、一周目に比べて二周目では、下段の音が、一オクターヴ低くなっていますね。
「ラストエンペラーのテーマ」を分析したときにも気づいたことですが、二周目ではオクターヴ替えるのが映画音楽の定石ですね。「エンペラー」の主旋律は一オクターヴ「上がり」でしたが、この「戦メリ」イントロは和声が一オクターヴ「下がり」しています。
旋律がすでに甲高い音で奏でられているので、これ以上オクターヴ上がりできないのです。それで和声(下段)のほうを一オクターヴ下げて、さらに「ミ」を加えることで明確にメジャーセヴンス和音化して、一周目よりずしんと心に響くようにしているのだと思います。
そうそう二周目では「ラ」が旋律に増結されています。
旋律の「ラ」より一オクターヴ下の「ラ」。
縦に「ラ」が三つ、二連してます。時計の振り子が、コチコチと音を鳴らし続けるかように。
ホワイトクリスマス、舞い散る桜吹雪、さらにそこに時の刻みが重なって響いていく…心憎いまでの演出ですわ五代さん。(棒読み)
つづく
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