Thus Created Ryuichi Sakamoto "Merry Christmas Mr. Lawrence" (Part 5)
[Abstract: In these serial essays, we delve into the captivating world of music analysis, specifically focusing on the introductory section of "Merry Christmas Mr. Lawrence." Within this musical masterpiece, a mesmerizing 4-bar sequence unfolds, characterized by repetition, yet it cleverly interweaves subtle variations with each iteration. Our exploration centers on the profound impact of a single chord's alteration, strategically placed between the opening measure and the fifth, illuminating the delicate nuances of transformation within this composition.]
その4からの続きです。
以下は下段については前回ぶんと同じで、上段を少し変えてみたものです。
「ああイントロの二周目ね」などと思ってもらっては、私としては、よろしくない。龍一先生が選んだ音符は、上のものとは少しばかり異なるのだから。
今聴いていただいたものの、楽譜はこんな風なのですが…
プロフェッサーが選んだのは、以下の音符でした。
「どう違うんじゃー!」とお怒りのおあにいさんおあねえさんのためにご説明いたします。以下は、前回分析したぶんの冒頭部分。「ラ」にご注目ください。
しかし今回分析していく、二周目の冒頭については、「ラ」ではなく「ソ」です。「ソ」の音が鳴るのです「ソ」が。
微妙な違いですが、聴き比べてみましょう。
「おんなじやないかー!!!」と怒り猛るような方はどうかとっとこのリング会場よりご退場いただくか、踏みとどまって、下段の白玉オンリー版で聴き比べていただくか、好きな方をお選びなさい ――—
ものすごくびみょーな違いですが、二つ目(つまり二周目の冒頭)の響きのほうが、わずかに安心感が増しています。「ラ」が「ソ」に変わった効果です。
「ラ」の音が…
「ソ」に変わった。
「ファ・ラ・ド」和音は、機能でいうと「Ⅳ」。ところがこれが「ファ・ソ・ド」に変わったことで、「ド・ファ・ソ」和音つまり「Ⅰ」に機能が変わったのです。
*
どこか浮遊感のある「Ⅳ」であり続けながら、二周目では、男らしい「Ⅰ」の匂いをさりげなく匂わせる、このクールビューティーなオトコの生き様、どうか聴き取ってあげてください。
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