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ロサンゼルス五輪は、ジョン・ウィリアムズの凱歌

前回のこれ⇩の続き


ドレミを書き込んでみました。リューイチ先生の五輪曲と違ってラクですわ~。


「小さくて読めへん!」 そうですか拡大してみませう。


♪ ソ~ミ、ドドドド~ソ、レレレレ~ファミ~ド~


ドレミファソ の五音オンリーでできてます。こういうところスター・ウォーズの作曲家さんだなーって感じますね。あれもドレミファソでできていたし。


ド が連打されたり、最後にまた出てきたりと、強調されてはいますが、少し弱い ド なのです。どういうことかというと…


下段(青)で「レ」がいっしょに連打されていますね。そのため旋律中の「ド」(緑で囲った♪)が、レ・ファ・ラ・ド和音の「ド」ということで、短和音寄りの「ド」に響くのです。


終わりに「ド」が旋律に再び現れますが、伴うのは「ファ」(青)です。そのためやはり少し軽い「ド」に響くという。


旋律に絞って考えると、ド・ミ・ソ和音(緑色) ➱ ソ・(シ)・レ・ファ和音(ピンク色) ➱ ド・ミ・ソ和音(緑色)の進行っぽいのですが…


下段をよく見るとわかるのですが全体では ド・ミ・ソ和音が生じないようになっています。


ここは ソ・シ・レ・ファ和音を形作っていますね。


ここは ド・ミ・ソ に レ が挿まった和音…という体裁で レ を連呼させて ド・ミ・ソ和音にならないようにしています。


先ほど述べたようにそれとなく レ・ファ・ラ・ド和音っぽい響きにしているの。ファ も ラ もないけれど、耳の奥では聞こえてくるという。


ここは ド・ミ・ソ和音っぽい響きなのですが、旋律はあくまで ミ です、ドではなく。


「ド」が旋律に再び現れます。しかし和声的には ファ・ラ・ド和音寄りです。ゆえにやや軽い「ド」となります。


ここはマイナーセヴンス寄りの「ド」で…


長三和音ではあるもののドミナントではなくサブドミ和音的な響きに包まれた「ド」です。


聴きかえしてみましょう。


「ド」が今一つ冴えない感じ、しませんか。つまり「この後 ド が活き活きしだすからちょっと待っててね」とそれとなく予告しているのです。


シーケンサー再生にあたっては、音の聞き取りやすさを優先してピアノの音色を選びましたが、ピアノはこういう風に高速でうちかます楽器ではありません。

こういううちかまし音は吹奏楽向けですね。とりわけトランペット。人間の舌の動きに最も連動しやすい楽器。そのぶん歯切れがいい。


メンデルスゾーンの「結婚行進曲」を始め、トランペットは歯切れがいいので陽気で前向きな楽曲には好んで使われます。


そういう音楽的記憶が人びとの耳にはあって、それを刺激するべく、ジョンは五輪開会式の曲を、トランペット主体に仕上げて、音も歯切れよくしたのですきっと。


龍一坂本プロフェッサーが1992年のバルセロナ夏季五輪開会式で奏でたマスゲーム曲は、トランペットが高らかに奏でられるところがむしろ少々貧相でした。


ホルンとトランペットのペアかな? 歯切れの良さが強みである楽器に、白玉の音を奏でさせるという愚! 

そのうえ不協和音を吹かせていますね。弦楽器ならそれが豊かな響きになるのだろうけど、吹奏楽器でそれやっちゃうと、調律が狂っているように聞こえてしまうのですよ。

龍さまの繊細かつ豊かな和声感覚が、裏目に出ちゃったかなって、思います。


つづくかもしれない


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