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れーばのーん、ればのんればのんレバノン娘が ♪

♪ れーなうーんれなうんれなうんレナウン娘が ♪

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レバノンがどんどん酷いことになっている様に、歌でも歌って気を紛わすしかない気分です。

9月16日より Netflix で、あの「火垂るの墓」が配信開始されるや、反響が大きいと日本のマスメディアが取り上げ中です。

「作品誕生から40年近くを経てもなお、多くの人の胸に響いている背景には、ウクライナやパレスチナ自治区ガザで罪なき人々が犠牲となっている世界情勢もあるようだ」等。(9月20日付朝日

TOGETTER にも反響についてのものがあるので、参照用に紹介しておきます。


あの映画についてはこれまでいろいろ批判の声があったことはよく知られています。「なんで海軍士官の子どもが飢え死にするねん」「インフレは敗戦後のことなので戦時中に預金使い果たすなんて変」そして「日本人が被害者面してんじゃねえ!」という声等。

しかしあまり知られていない逸話があります。あれの公開後、監督さまが満州を舞台にした長編アニメ映画を考えていたのです。

今手元に資料がないのでうろ覚えで綴りますが『国境 - Border』という仮タイトルでした。日本の若者の目線で、満州を描いてみたいというものです。

いわゆる満州について日本を侵略者として描いてみたいと、そういう狙いだったようです。

ジブリの描く満州…見て見たかったな。

まんがですと安彦良和の劇画にそういうのがあった気がします。なんたらのトロツキーでしたか。どういうわけか印象はあまり私のなかに残っていないです。政治風刺まんがをあの天才的な画力でひたすら読まされている気分、とまで言い切るつもりはありませんが、そういう声がちらほらあったことは付記しておきます。

「ジパング」(かわぐち)には出てきますね。それも満鉄での旅が。関東軍についても描写があります。あれは面白かったです。


満州については「進出」だったのか「侵略」だったのか、見解は分かれると思います。

日清戦争後、清国がロシアと密約を交わしていて、それを根拠に満州(東三省といわないと怒られてしまうのかな)に鉄道を敷いていました。

日露戦争後、その支線が日本に引き渡されました。清国にいったんに引き渡された後、日本と清国が条約を結んで日本に引き渡すという手続きを踏んで、です。

これが南満州鉄道です。

鉄道を軸に眺めていくと、満州をめぐる諸々が見えてきます。

ロシアから引き渡された鉄道について、アメリカの鉄道王ハリマンが経営したいと日本政府に申し出て、仮契約まで進んだものの小村(日ロ交渉時の日本代表)が猛反対して正契約は阻止されたという話、どこかで読んだことがあると思います。

あれがきっかけでアメリカが日本に不信を抱き、後のアジア太平洋戦争の遠因になった…という風に歴史を語るのが長く定説化しています。私はこの史観を疑っていますがその話について今はしません。

満州の統治については、馬賊あがりの軍閥・張作霖に委ね、鉄道とそれに付随する施設(主要駅周辺の開発含む)は日本が管理する体制で、歴史は進んで行ったわけですが…

こんなシミュレーションをしてみたいです。

もしハリマンに鉄道運営をゆだねていたら、その後どうなっていたのだろう?って。

史実では、張は満州利権に飽き足らず、北京政府での実権掌握に野心を膨らませ、攻め込んだものの返り討ちにあって鉄道で満州に戻るところを、爆殺されるという風に進むのですが…

あの鉄道がハリマン、つまりアメリカ企業の権益として回っていたら、ホワイトハウスは張作霖について、そしてほかの軍閥たちについて、どう対処していたのでしょうね。

超は北京政府での実権掌握に野心を抱き、それとともに日本には協力的でなくなっていました。彼による妨害工作がずいぶんあったようです。

ハリマンがもし南満州鉄道を運営していたら、超の離反そして妨害はそのままアメリカの利権を損なう行為とみなされたと思われます。

さらにもうひとつ IF を置いてみましょう。この世界線においても爆殺事件が起きるとして、それを実行するのが史実と同じく関東軍の一部グループだとして、張作霖の後釜となったその息子・学良は「日本とアメリカの共謀である」と考えたと思います。

史実では、彼は後になって「東三省を日本が侵略している」と公言しだします。

ハリマン運営での南満州鉄道で爆殺事件が起きていたら…

「アメリカが日本を使って東三省を侵略している」「父はアメリカによって殺された」と公言することになりそうです。

このシミュレーションを考えるにあたって、爆殺計画は日本の関係者が史実と同じく独断で行うという設定にしてあります。

ハリマンやホワイトハウスには相談(!)なしに行うという設定です。

実際、史実ではあの爆殺事件は首相も天皇も陸軍トップも知らないところで実行されたものです。

「だからってホワイトハウスの知らないところであんな大事件起こせっこない」とツッコミをいれたくなる方もきっといらっしゃるでしょうが…

そうであればなおさらアメリカは、満州統治の揺らぎに、史実よりずっと敏感になったと思われます。

「張作霖の統治下でひどいインフレになっとるそうやないか、鉄道の運営すら危うくなっている。守備はあんたらの仕事やないかなんとかしろ日本!」

満州そして中国本土での動乱に、星条旗が史実以上に巻き込まれていく、そんな世界線が生じることになります。

小村がハリマンとの正式契約に断固反対して、ハリマン鉄道の話はお流れになったのが、日本による満州「侵略」の第一歩だった、みたいな史観があるようですが…

この初期設定を上のシミュレーションのようにいじってみると、違う史観が生じてくるのは面白いですね。

ジブリがもし、そんな映画を作ってくれていたら…

そんな空想を、このところ膨らませています。



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