ぼくは「戦場のメリークリスマス」をこうやって作曲した(その1)
「お前誰やねん?」と若い頃のダウンタウンにツッコまれそうなタイトルとともに、私の「戦メリ」分析連載の新章開幕です。
音楽に限ったことではないのですが、何かとびぬけた作品なり研究なり発明なり、とにかく「あんたどうやってこれ作ったんやー!!!」とひとを驚かせるものは、たいてい無計算によるものです。事前の計算が仮にあっても、次第にそこから逸れていって、想定外のものに育っていくことのほうが多い気がします。
まるで神が設計なされたかのように緻密で、端正で、無駄のないもの…「メリークリスマス・ミスターローレンス」はまさにそういう楽曲です。
この曲の組み立てについて、順に振りかえってみましょう。
基本はこの和音。
龍一教授がどうしてこの和音を、映画「戦場のメリークリスマス」のサウンドトラックを貫く、メインテーマならぬメインハーモニーとして選んだのかについては、すでに語ったことなのでここでは省きますが…
この素朴といえば素朴な音の重ねあわせより、彼は二つのモチーフを造形しました。
ひとつ(Ⓐ)はこれ。
ミ ↘ レ ↗ ミ ↗ ラ
もうひとつ(Ⓑ)はこれ。
レ ↗ ミ ↘ レ ↘ ラ
ひとつの和音から、上二つのモチーフが生まれていますね。
ひとつの和音というのは、先ほど見ていただいた、これ。
ここから、ふたご(性別違い)が生まれたわけです。
動画で再聴してみましょう。以下の和音が母胎となって…
こんなふたごさんが生まれてきました。
おお、「戦メリ」のイントロと、主旋律さんではありませんか、このふたり!
その2につづく
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