きれいな蝶
日曜の朝、10時過ぎに起きてきた嫁が
「なんか嫌な夢見た。聞いてくれる?」と言った。
「聞かない。」
「あのさー、家の中で蝶が異常発生してんだよ。」
「だから聞かないって…。」
「それがものすごくきれいな蝶でさー。
双子どもが気味悪がって、これどうにかしてくんないって言うんだよ。」
「きれいってとこが嫌だ…。」
「そんでしょうがないから隣の部屋に様子を見に行くと、そっちのんがもっと蝶がたくさん飛んでてさ、なぜか血まみれの赤ちゃんがバブバブ這い回ってんの。」
「血まみれの赤ちゃんが這い回ってちゃダメじゃないか…。
その赤ちゃんが蝶の発生源なの?」
「いや、そういう訳じゃないのよ。」
「そういう訳じゃないのかよ…。」
「そんでさらに次の部屋に行くともっと蝶が多くてさ、
足元になぜだかボウルが落ちてんの。」
「ボウルって…、料理のか?」
「そう、大小色んな色のボウルが足の踏み場もないぐらい落ちてんのよ。」
「気味が悪いな…、っていうか、前の部屋の赤ちゃん放っといていいのかよ…?」
「そんでね、そのボウルの全部に、まばらに一円玉ぐらいの穴が開けてあんのよ、トムとジェリーのチーズみたいに。」
「先に救急車呼びなさいよ…。」
「このボウルなんで穴開けたんだろう…、何に使うのかなー?
すると後ろをついて来た双子が…。」
「お風呂屋さんで使うんじゃない?」
「ざるみたいに水が切れるようにしてあるんだよ。」
「それじゃお湯がくめないし、そんなものお風呂屋さんでなんの役にもたたんだろ…。そんでその蝶と赤ちゃんとボウルはどういう関連があるのよ…。」
「分かんない、夢の話だからね。」
「やっぱ聞かなきゃ良かった…。」