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もっと作業療法士は就労支援・職業支援のノウハウを身に着けるべきかも…

基本は高齢の患者さんへのリハビリが多いのですが、年間何例か若い患者さんを担当する機会があります。
そうすると在宅復帰…だけでなく就労支援が必要になるんですね。
でも、実際現場の作業療法士って就労支援にちょっと弱いところあるんですよね。


就労支援を苦手とするOTが多い理由

作業療法士が就労支援のノウハウが不足している理由って主に次のようなものが考えられると思うんです。

  1. 医療機関での就業が中心

  2. 教育カリキュラムの不足

  3. 経験不足

  4. 専門的な研修の不足

  5. 障害者雇用に関する知識不足

  6. 多職種連携の課題

  7. 職場環境調整のスキル不足

  8. 就労支援の評価方法の未確立

それぞれ解説します。

1. 医療機関での就業が中心

OTの約7割が医療機関で働いていることから、結果的に就労支援に関わる機会が限られてしまいます。これは医療現場では主に機能回復訓練が求められ、就労支援に必要なスキルを実践する機会が少ないのが現状のようです。
結果として、職業リハビリテーションの経験を積むことが難しい構造的な問題が存在します。

2. 教育カリキュラムの不足

OTの養成課程では、就労支援に特化した教育が十分に組み込まれていないようですね。そのため、職業リハビリテーションや障害者雇用に関する知識を体系的に学ぶ機会が乏しいのが現状です。教育段階での準備不足が、現場での実践力の欠如につながっていると考えられます。

3. 経験不足

特に新卒のOTは、就労支援に関する実践経験がほとんどない状態で現場に出ます。また、既存のOTも医療機関中心の業務では、就労支援に取り組む機会が少ないです。その結果、就労支援の場面で適切な対応ができないケースが増えています。

4. 専門的な研修の不足

就労支援に必要な専門的な知識やスキルを学ぶ研修機会が十分に提供されていません。もちろん職業リハ学会などはありますが、それでも勉強会や研修の母数は少ないです。ジョブコーチや障害者雇用に関する研修があったとしても、地域によってアクセスが難しい場合もありますし。
こうした背景が、OTのスキル不足の一因となっています。

5. 障害者雇用に関する知識不足

障害者雇用制度や就労支援サービスの最新情報を知らないOTも少なくありません。企業側のニーズや雇用環境についての理解が不足していることが、適切な支援を阻む要因となっています。
結果として、就労支援に自信を持てないケースが多く見受けられます。

6. 多職種連携の課題

就労支援では、ハローワークや就労支援機関などとの多職種連携が重要です。しかし、その連携方法について十分に理解していないOTが多いのが現状です。こうした課題が、支援活動の効果を低下させる原因となっています。

7. 職場環境調整のスキル不足

職場環境の調整や職務の再構築を行うスキルが不足しているOTが多いです。
企業側とのコミュニケーションや交渉スキルが求められるものの、それらを習得する機会が限られています。
実践事例が少ないため、支援経験が蓄積されにくい状況にあります。

8. 就労支援の評価方法の未確立

就労支援の効果を適切に評価する方法が確立されていない点も問題です。
評価が曖昧であるため、支援の有効性を自分で判断することが難しくなります。これが、就労支援への取り組みをためらわせる要因の一つとなっています。

作業療法白書2021では?

作業療法白書2021

ちょっと古いですが、作業療法白書2021でのデータをみてみました。
「医療関連(身体障害領域)での作業療法の評価項目ととくに実施すべき評価」のトピックスをみてみると…2015年では回答者のうち8.4%なのに、2021年では2.6%と年々下がっています。

これからの世のなかを考えると、働くことの支援って重要かなと

今後少子高齢化が進むと労働人口は必然的に減少していきます。
そうなるとだれでも活躍できる社会をつくっていく必要があるんです。

それは若い人はもちろん、障害を持つ方や長期療養後の方なども、これまで労働市場に参加しづらかった人たちが働ける環境を整えることは、社会全体の持続可能性にもつながっていくんです。

また、働くことを単に収入を得るための手段ではなく、自己実現や社会参加の場としての役割をもつように再定義していくことも重要かなと。

これって作業療法士の役目だと思うんですよね。

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