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命を救うのが医療だとしたら、生活を救うのは?
NETFLIXの韓国医療ドラマ「トラウマコード」を観ました。久しぶりに医療ドラマで面白いと思えた作品です。このドラマの舞台は、重症外傷医療の現場。まさに"医療"の最前線です。
でも、ふと疑問が浮かびました。
「では、リハビリはどこに位置づけられるのか?」
リハビリも医療。でも…
「トラウマコード」のような重症外傷医療は、事故が発生し、命の危険が迫る瞬間に介入する医療分野です。自分の中では、こうした医療を“点の医療”と捉えています。検査、手術、処置といった、瞬時の判断と対応が求められる即時的な医療です。
一方で、リハビリも医療ですが、“点の医療”とは異なる印象を持ちます。リハビリは、時間をかけて回復を支援する“線の医療”というイメージです。単発の治療ではなく、継続的なプロセスを伴います。
cureとcareの違いなのか?
こうした違いは、「cure(治す)」と「care(支える)」の概念にも通じるのではないでしょうか。
“点の医療”は、まさにcureの要素が強いものです。命を救い、病気や外傷を治すことが目的だからです。一方、リハビリはcureだけではなく、むしろcareの要素が強いと感じます。リハビリは、即時的ではなく、持続的・計画的・段階的に行われるためです。
さらに、リハビリの中でも理学療法(PT)はcure寄り、作業療法(OT)はcare寄りの役割が強いという印象もあります。
命を救うのが医療なら、生活を救うのは?
医療が命を救う技術だとしたら、生活を救うのは何でしょうか?
その答えの一つが福祉やリハビリテーションではないかと思います。特に作業療法(OT)は、生活を支援する技術として重要な役割を果たします。リハビリの中でも、単に身体機能を回復させるのではなく、「その人らしい生活」を取り戻すことに焦点を当てるのが作業療法の特徴です。
医療とリハビリの連続性
医療とリハビリは別物ではなくもちろん連続しています。
例えば、脳卒中の患者が救急病院で処置を受け、一命を取り留めたとします。ここでの治療は“点の医療”であり、cureがメインです。しかし、その後、患者が元の生活を取り戻すには、長期間のリハビリが必要です。ここからは“線の医療”となり、careの役割が強まります。
また、単に治療が終われば良いのではなく、その後の生活の質(QOL)を向上させるためには、リハビリが不可欠です。リハビリがなければ、「命は助かったけれど、思うように動けない」「生活が以前のように送れない」という状況になりかねません。
生活を支えるために必要な視点
「リハビリが生活を救う」という視点を持つと、自分たちセラピストはより幅広い視野で支援を考えられるようになります。
例えば、身体機能の回復だけでなく、
環境の調整(家屋改修や福祉機器の導入)
心理社会的支援(自己効力感の回復、役割の再獲得)
職場復帰や社会参加の支援
…といった、生活全体を視野に入れたアプローチが重要になってきます。
また、リハビリだけでなく、福祉制度や地域資源との連携も不可欠です。
医療機関を出た後の生活を支えるためには、地域社会との協力が求められます。
まとめ
「トラウマコード」のような医療ドラマを観ると、ああいう働き方に憧れてしまいます。正直「かっこいい!」って思ってしまいますからね。
でもああいうcureの医療は、あくまで患者さんをスタートラインにもう一度立たせること。
実際、スタートを切って走り出して、ゴールまで走り続けるには、careが必要なんです。
リハビリは、治療の先にある「生きること」「その人らしい生活を取り戻すこと」に焦点を当てた重要な領域なんだよなって改めて思いました。
もし、命を救うのが医療なら、生活を救うのはリハビリや福祉なのかもしれません。セラピストは、その両方を考えていく必要があるのではないでしょうか。