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作業療法士の徒手療法って行動変容のための手段にすればいいんじゃないですか?

 身体障害の領域の作業療法に身を置いていると、非常に身に染みる「OTのPT化」って現象。機能障害にばかり目が行き、機能訓練オンリーになり、徒手的な介入に傾倒してしまう作業療法士。
 恥ずかしながら通ってきた道だから気持ちはわかりますが、作業療法士が行う徒手療法も、目的があっての手段としてなら自分は賛成派なんですよ。   結論から言ってしまえば行動変容につながるような徒手療法。今日はそんな話。


機能訓練の重要性について

 まず、機能訓練の重要性について考えてみます。
 身体機能の改善は、日常生活の質を向上させるために必要不可欠です。筋力や関節の可動域を向上させることで、患者さんの自立度が高まり、結果日常生活の動作が容易になります。ボトムアップアプローチですね。この機能訓練の重要性ってのは誰でも理解できると思います。

徒手療法の適用範囲

 徒手療法は、身体の痛みや不快感を軽減し、機能的な動きを取り戻すための重要な手段です。作業療法士がこの手法を用いる際には、患者さんの生活背景や日常活動を考慮に入れた上で、その効果を最大限に引き出すことが求められるんです。
 「なんのためにその徒手療法を行っているのか?」そして、「その結果、どういう活動につながるようにしたいのか」。これを念頭に置いたうえでの徒手療法なら大賛成です。徒手療法自体が目的となるのではなく、それを通じてどのように日常生活を改善するかを常に念頭に置く必要があります。

無目的な徒手療法ほど価値提供を成さないものはないんです

 繰り返しますが、その徒手療法を行っている目的を(正解に近かろうが遠かろうが)きちんと見据えたうえでだったら問題ないんです。一番NGなのは「なんとなく」や「PTがやってるから」のような全くもっての無目的な場合。これは患者さんに対してなんの価値提供も行っていません。むしろ時間とお金を奪っているようなものです。

作業療法の本質って

 作業療法の本質は、「作業」を通じた治療です。作業とは、単なる機能的な動作だけでなく、患者さんが意義を感じる日常活動全般を指します。例えば、料理や庭いじり、趣味の活動など、患者さんが楽しみながら行える作業を通じて、身体機能の改善を図ることが大切です。徒手療法はそのための一手段に過ぎないんです。患者さんが望むための作業活動につながりやすくするためのきっかけってイメージ。
 「マッサージ(徒手療法)してもらって痛みが落ち着いたから、また自分でトイレに行けれるようになると思うんだ!」
 「動かない肩を揉んでもらったて動きやすくなったから、自分で着替えをしてみたんだ!」
こんなフィードバックを患者さんからいただければ、作業療法士が行う徒手療法も意味があるものだと思うんです。言い換えれば行動変容のきっかけになる徒手療法ですね。

作業を通した介入を押し付けないって視点も重要かなと

 患者さんからすればPTもOTもどちらも「リハビリの先生」。もちろん歩く練習担当、手のリハビリ担当くらいの区別はしているでしょうけど、そこにPT独自の、OT独自のアイデンティティは求めていないと思うんです。
「手段はなんだっていい。良くしてくれ!」ってのが本音なんです。
だから、機能訓練に傾倒することも、「OTのアイデンティティ」を免罪符に徒手療法を一切行わないってのも少し考えものかなと。

ニーズとシーズで考えることも必要かなと

患者さんがOTに求めるもの=ニーズですし、OTができること=シーズなんです。まだまだリハビリ=マッサージのイメージも強い現状では、やっぱり徒手療法は患者さんがもとめるニーズであり、避けれないと思います。
 ならOTのシーズである「作業」を通した生活改善につながるように、徒手療法を上手に手段化する発想が必要かなと思うんですよね。そういう作業療法プログラムの組み立て方は、その人の手腕にかかってくるんです。

まとめ

 まだまだ作業療法の時間の最初からベッドやプラットフォームに寝かせて徒手療法…って流れは多いようです。これも目的があるならよいですよ。ただのルーティン化してるなら避けるべき。
 なによりも自分としては「作業療法の目的はその対象者の行動を変えること」って行動変容をテーマにしているだけに、徒手療法すら行動変容のきっかけにできるように意識したいと思うんです。


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