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つなげることの大切さ -作業療法士として本当に目指すべきこととは?

作業療法士として、自分は日々さまざまな患者さんと向き合い、リハビリを提供しています。
関節や筋力の回復を促す運動療法、ADL(Activities of Daily Living)やAPDL(Advanced Daily Living Activities)の再獲得、高次脳機能障害へのアプローチ——これらは確かに重要な技術です。
しかし、最近これらが"手段"にすぎないことを改めて強く実感するようになりました。

では、本当の目的とは何なのでしょうかね?


「地域につなげる」という視点

入院生活は、ある意味で非日常です。
食事、入浴、移動など、すべてが病院のルールに沿って管理されています。しかし、退院した瞬間から患者さんは「地域」の中で暮らしていくことになります。
そのとき、自分たち作業療法士が提供したリハビリはどこまでその人の「地域での生活」に寄与できているのでしょうか?

・自宅での生活に適応できる準備ができているか?
・家族や友人とつながる手段を持っているか?
・地域のサービスや支援を活用できるようになっているか?
・役割や生きがいを持って社会の一員として過ごせるか?

こうした「つながり」を作ることこそ、作業療法士の本質的な役割ではないでしょうか?

「つながり」を意識したリハビリの実践

では、自分たちが「つなげる」ためにできることは何でしょうか?
いくつかの視点から考えてみました。

1. 退院後の生活を見据えた目標設定

「歩行訓練」や「更衣動作の練習」は、それ自体が目的ではなく、その先にある「地域での生活」に結びついている必要があります。

・スーパーまで歩いて買い物ができるようにする
・好きな喫茶店に出かけられるようにする
・友人と電話で会話できるようにする

具体的な生活場面を想定した目標設定を行うことで、提供するリハビリの質が格段に向上するはずです。
少なくても、セラピスト側が押し付けるようなリハビリではなくなるはずです。

2. 家族・地域のリソースを活用する

患者さんが退院後に孤立しないよう、家族や地域の支援を積極的に活用することも重要です。

・訪問リハやデイサービスの活用
・地域のサロンやコミュニティ活動の紹介
・家族向けの支援プログラムの提案

患者さんが「一人で頑張る」のではなく、「地域の中で支えられる」環境を整えていく視点が大切なんです。

3. 「役割の回復」に着目する

人は誰でも「役割」を持つことで、自分の存在価値を感じます。

・家族の中で「料理を作る人」
・地域で「近所の人と挨拶する人」
・趣味のグループで「仲間と楽しむ人」

こうした「役割の回復」こそ、リハビリの本質的なゴールと言えます。この役割の再獲得への手添えを行うことも、作業療法士の責務じゃないでしょうか?

まとめ:つなげることが、人生を支える

作業療法士の役割は、単に「動作を改善すること」ではなく、「その人の人生を地域につなげること」にあります。
リハビリの視点を「地域での生活」に向けることで、患者さんの未来がより豊かになり、私たちの介入もより意義深いものになるはずです。

「この人が地域でどう生きていくのか?」

この問いを常に忘れず、作業療法の本質を追求していきたいものです。。


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