この記事で書ききれなかったことを書いておこうと思います。
SNSで『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の感想を検索すると、「二度と戦争を繰り返してはいけないと思った」という投稿がかなり多いです。そういう意味で、この作品は「反戦映画」といえます。ただ、「なぜ戦争をしてはいけないのか」をもっと深く考えなければならないのではないか、とも思うのです。
もちろん「命が奪われるから」戦争はしてはいけない、というのはその通りです。でもそれだけではありません。自分が「人殺しになる」かもしれないという恐ろしさもあります。大岡昇平原作・塚本晋也監督の『野火』は、それを考えさせる映画でした。
上映会での塚本監督の発言、少し長いですが引用します。
塚本監督が言うように、加害者を描く映画を観て、観客は「気持ち良くならない」。だから戦争の「加害」の側面はどうしたって自己啓発の題材にはなりません。
「人殺しに"させられた"」という面で、兵士も被害者です。しかし、『野火』で描かれていたのは、そう割り切ることはできないという恐ろしさでした。正気ではいられない、肉体と精神の限界にあっても、最後の最後に引金を引くのは自分。「殺される」ではなく「殺す」を選んだのだから、そこに自分の意思がまったくなかったとは言えない。「人を殺さなきゃならないっていう怖さ」というのは、そういうところにもあるのではないかと思いました。