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書評「おいしいごはんがたべられますように」

2022.9.20

 
書評『おいしいごはんが食べられますように』
1 この本を選んだ理由
 KenとTakeの#6読書会の次の指定本としてTakeが選定した。
 今回の担当者であるTakeは、 BOOKOFFで購入した『錆(北方謙三) 同級生(東野圭吾) 夏樹静子(デュアル・ライフ)』を提案したが、まとまらず、お互いに関心のある「安倍暗殺と統一教会」と以前読んでいた芥川賞発表小説に興味があり購入した文藝春秋9月特別号の 『おいしいごはんが食べられますように』を選定した。
 
2 基本となるデータ 著者、タイトル、発行地、発行所、発行年
著者 高瀬隼子
タイトル おいしいごはんが食べられますように
発行所 文藝春秋
発行年 2022年8月
 
3 著者紹介
高瀬 隼子(たかせ じゅんこ、1988年 - )
愛媛県新居浜市出身。東京都在住。愛媛県立新居浜西高等学校立命館大学文学部哲学専攻)卒業。
経歴
立命館大学の文芸サークル「文芸創作同好会」の仲間を中心とした文芸サークル「京都ジャンクション」に参加し、「高瀬遊」で文学フリマでの活動。

 
4 本の内容
 題名に驚く、こんなに可愛い題名の本は読んだ記憶がない。そう72歳の私、だ。
同じ会社で働く二谷、芦川、押尾が中心で、脇役に原田さん以下のパート、それに藤副支店長を絡めた物語である。
 会社において、日常的な仕事上の人間関係をくまなく小奇麗に表現している。そして、飲み会や懇親会の實相を人間の深層を捉えて場として面白く可笑しく描いている。
 『おいしいごはんが食べられますように』は最後まで何のこと、思いつつ読んでいたが結末でなるほど感があった。
これは恋愛小説である。この小説の主人公は誰なのかと考えながら読むのもいいか。
 
5 評価 今後参考になる点
 高齢者の私には、捉えどころない小説だろうと半ばあきらめて読み始めた。
 終始大変読み易かった。しかし、「そして、また」などの接続詞がない(少ない)のは意外と読
みやすい。会話が少ないのもいい。「会話は少なく、短く」の丸山健二に近いか。
 会社人の日常勤務から表情、態度、噂話などがよく描写されている。私も会社勤務があり思わず「なるほどね」と、うなるところが多かった。 原田さんたちパートの人の働き方もよく表現されている。
 何でもない情況から小説は創作できることを教えられる。
 さすがに、芥川賞作家である。今後が楽しみである。
 
6 批判 
 Kenは最近の小説はこんなもんなんだね、と。先に読んだ妻に感想を聴いた、「別に?」と何の反応はなかった。二谷、芦川、押尾の3人の関係をよく理解できてなかったのではないか。
 こんな関係を楽しむことができれば「いいね」が読後観である。

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