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1215 自分だけの金田一像を探る――歴代ドラマを振り返って
0.はじめに
この記事では、1995年放送の堂本剛版から2022年放送の道枝駿佑版まで、歴代の『金田一少年の事件簿』シリーズを総評します。それぞれの良かった点と惜しい点を振り返りながら、自分が理想とする「金田一はじめ像」について語りたいと思います。
1.なぜ、この記事を執筆するにいたったか
正直に言うと、一度終わった作品を掘り起こして語るのはあまり得意ではありません。しかし今回、歴代シリーズを振り返るきっかけとなったのは、TVerでの無料公開に5代目『金田一少年の事件簿2022』が含まれていなかったことです。
道枝版は、令和時代の金田一像を見事に描いた作品で、個人的にも高く評価しています。そのため、未公開だったことに違和感を覚え、この記事を書こうと決意しました。
シリーズ全体を見渡しながら、各時代の魅力や改善点を掘り下げていきます。ぜひ最後までお付き合いください!
2.各代の金田一はじめを振り返ってみよう
ここは端的に箇条書きで長所と短所をお伝えします。
1.『金田一少年の事件簿』(1994~1997) 主演:堂本剛
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長所
堂本剛さん演じる金田一が原作のイメージにぴったり。
原作以上に、殺人事件の悲惨さや重さが深く描かれている。
唯一、ラブコメ的な要素の終着点を描いたシリーズ。
短所
改変により、一部エピソードの展開が不自然になった点がある。
ポケベルや公衆電話など、令和の視聴者に馴染みにくい描写がある。
殺人描写がリアルすぎて、視聴者によっては受け入れがたい可能性。
堂本版は、「金田一はじめ」像を確立したシリーズと言えるでしょう。
気になる方はTVerで配信中ですので、ぜひご覧ください!
2.『金田一少年の事件簿』(2001) 主演:松本潤
長所
内藤剛志さんの剣持警部が、原作ファンからも高評価を得る再現度。
原作の中でも特に人気のエピソードを厳選して構成。
若手俳優陣の中に後に名を成す俳優が多く出演している。
短所
主人公や一部キャストの演技が固く、テンポが悪く感じる部分がある。
原作に比べ、主人公のキャラ付けが自己主張強めで好みが分かれる。
脚色の影響で、一部エピソードの説得力が薄れた箇所がある。
松本版は、内藤剛志さんを中心としたベテラン俳優陣が光るシリーズです。
こちらもまたTVerで配信中ですので、この機会にぜひチェックしてみてください!
3.『金田一少年の事件簿 吸血鬼伝説殺人事件』(2005)
主演:亀梨和也
長所
ロケーションが事件の雰囲気にマッチしており、緊張感がある。
原作エピソードの感動的な終盤を忠実に再現している。
短所
主人公の探偵描写が消極的で、原作の力強さに欠ける印象。
主人公の葛藤に焦点を当てた結果、テンポがやや悪くなった。
亀梨版は、これまでにない金田一像に挑戦した意欲作といえるでしょう。TVerで配信中ですので、ぜひご覧ください!
4.『金田一少年の事件簿N(ネオ)』(2013~2014) 主演:山田涼介
長所
見岳章が復活し、金田一らしい音楽演出が復活した。
主演の山田涼介さんや高遠遙一役の成宮寛貴さんの名演技により、新しい金田一はじめや高遠遙一像が描かれた。
「家族」にテーマを絞ったため、構成が全体的にまとまっている。
短所
凄惨な描写が少なく、事件の悲惨さや緊張感に欠ける。
真壁部長など、一部のキャラクター設定が原作と乖離している。
スケベを全面に出すため、女性視聴者が受け入れがたい可能性。
山田版で、ラブコメの完結まで至りませんでした。ですが、原作キャラクターが俳優の演技により魅力を増した、堂本版と並ぶ傑作と言えます。
見逃すには惜しい作品ですので、この機にぜひご視聴ください!
5.『金田一少年の事件簿2022』(2022) 主演:道枝駿佑
長所
主演の道枝駿佑が令和のダメ男を演じきった。
タブレットなど最新の機器を使った作風にアップデートした。
凄惨な描写が増し、作品に緊張感と悲壮感を取り戻した。
短所
ヒロインとの絡みが薄く、ラブコメの満足度が最も低い作風だった。
45分という尺の都合上、犯人のドラマ描写が薄かった。
7エピソード10話なので、キャラクターが親しくなるまでの展開が早足。
道枝版は令和の金田一はじめを確立した良作と個人的に評しています。
現在はDisney+PlusやHuluなど、有料配信限定コンテンツです。
↓主題歌だけ。2022の雰囲気がよく伝わる、かっこいいOPテーマです。
2.では、私はどんな金田一はじめを見たいのか?
結論を言うと、私は金田一はじめに「バカだけど、正義感と頭脳を生かして真実に光を当てる探偵像」を求めているのだと思います。
その観点を「人間」としての側面と「探偵」としての側面の2つに分けて、論述していきます。
1.「ひとりの人間」として求める金田一はじめ像
金田一はじめの人間的魅力は、その「素直で大胆な行動」にあると感じます。
たとえば、堂本版では、「美女とのデート目的」で海水浴の企画を開催し、黒板に間違った英語のつづりでPR文を書く大胆さが笑いを誘います。
また、山田版では3Dゴーグルを持ち帰り、ヒロインをじっと見つめるスケベ心が面白く描かれていました。
このような「自分に正直で後先を考えない行動」が、悲惨な事件に対する一服の清涼剤となり、作品全体の雰囲気を和らげるのです。
一方で、松本版の金田一は、妄想癖が強いとされながらも、実行力や大胆さが描かれず、中途半端な印象を受けました。この点が、他の金田一たちと一線を画している理由だと感じます。
2.「ひとりの探偵」として求める金田一はじめ像
探偵としての金田一はじめには、「責任感のある行動」が欠かせません。
道枝版の『学園七不思議殺人事件』では、事件に巻き込まれる形でスタートするものの、美雪だけでなく自分と同じ学校の人たちが事件の犠牲になったことに怒りを覚え、犯人に立ち向かう決意を固める姿が際立っていました。特に、「じっちゃんの名にかけて!」というセリフには、彼らへの責任感と覚悟が込められていると感じさせてくれました。
一方で、亀梨版の金田一は、事件への消極的な姿勢が強調されており、責任感が薄れてしまった印象です。この点が、探偵としての魅力を削ぐ要因ではないでしょうか。
3.まとめ
私が求める金田一像を一言で表すなら、以下の2点に集約されます。
素直で大胆な行動をとり、場を和ませる人間的な魅力
困難にも負けず、事件に向き合う責任感と勇気
このような金田一はじめが、5代目の続編や新たな世代で引き継がれることを願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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