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0928 名探偵の終演〜『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』

0.はじめに

こちらの記事は以下の注意点がございます。

・Chat GPTから文言等の修正を受けながら、執筆します。
・1995年から1997年まで放映されたドラマ版ですので、アニメの話はほとんど出ません。
・今回の内容はグロ指定が入りかねない内容なので、心臓の弱い方やグロ描写に敏感な方はご注意くださいい。

この3点をご了承いただける方はどうぞ続きを読んでください。

1.総評

評価:★★★★★(星5)  
ドラマオリジナルの展開を見事に着地させた、ドラマスタッフにしか作れない最高の『金田一少年の事件簿』でした。
97年の上海の様子を見られる貴重な資料であると同時に、原作を超えた展開を迎えて終演した史上最高のドラマ最終回として名を残すべき作品です。

2.具体的な見どころ

1.90年代の上海を映した、リアリティにあふれた映像

はじめたちが空港から外へ出るところから、もう上海の映像が広がっています。それがいつもと違い、異世界に迷い込んだような感覚を生むため、ミステリーとは別に映像にも見入るのが本作の魅力の一つです。

ただ、金田一らしさが失われたわけではありません。容疑者として疑われた青年、シャオロンが中国当局に拘束されそうになったシーン。はじめはそこで信じられない行動に出ます。なんと彼の無実を信じて、雑技団から連れ出して逃亡するのです。
そのシーンだと、果物屋の商品が並ぶ道路など、日本では見られない風景の中で逃げ惑う彼らの様子を見届けることができます。後ろからは中国の警察当局が血相を変えて数十人で追いかけてくるため、「逃げきれるか!?」となる臨場感もまだ残っているのも素晴らしかったです。

2.サイコホラーな演出

この作品の魅力の一つは、ホラー映画のような演出で、視聴者を不安にさせるところです。

特に、雑技団の過去を描いた場面や呪いの詩に見立てられた遺体の描写が薄気味悪く、ゾッとさせるような雰囲気が漂っています。
(具体的に言うと、耳をそいだり、片目がなかったり……演者の表情のインパクトも相成って、殺人の恐ろしさを醸し出していました。)

単なる推理物としてだけでなく、ホラー的な緊張感をもたせることで、最後まで息をつかせない展開が特徴です。

3.豪華なキャスト陣の織りなす空気感

中尾彬さんといった実力派俳優が集結し、それぞれのキャラクターが生き生きと描かれています。

例えば、金田一はじめが上海に行くきっかけになった手紙の下り。はじめは「上海」のことを「しゃんはい」と読まず、「あげうみ」と読んでいました。これ以外にもヤギにパスポート食べられて慌てたり落胆したりといつも以上に彼のおバカっぷりが加速する演技を見せてくださいました。
ところが、今回のはじめは一味違う姿も見せます。終盤で日本へ強制送還される直前に再度殺人現場に舞い戻る展開があります。その際、はじめはなかなかカッコいい方法で現場に戻るのです。
そこは、ぜひ見て楽しんでください。あの当時の少年ならだれもが憧れる方法です。

その一方、この映画でも欠かせないのが、中尾彬さんの存在です。彼は雑技団のプロデューサー役として出演しています。ところが、話が進んでいくにつれ、社交的で温厚そうなプロデューサーから胡散臭い犯罪者としての一面が顔を覗かせるようになります。
他のキャストの演技も素晴らしいですが、中尾彬さんの豹変ぶりは格別でした。(さすが、尾張大納言。)

このように、主役から脇役まで全キャストの演技を楽しめることも本作の魅力の一つといえます。

4.難解なミステリーパート

本作のミステリーは上海と日本の情報を繋げて1つのジグソーパズルを完成させるものとなっているので、上海にいる描写だけでは事件の全貌が見えません。また、それらの情報を繋げても、まだあいまいな部分があるため、真実にたどりつことができません。
それこそ、『金田一少年の事件簿』最難関の謎解きと言えるでしょう。

そのため、ここで一番輝いているのは剣持警部と向井刑事の2人なのです。この2人が日本で事件の調査をしっかり行い、その情報を的確にはじめに伝えているため、事件の解決につながったのです。ある意味、警察がはじめの助言者として明確に分かりやすく活躍していたことも、この映画の見どころです。

5.原作超え再び!感動のラスト

これこそ、このブログで語るには無粋なので、ぜひ視聴してください。
ただ、今回は真壁も活躍しているため、そこだけ切り抜いて紹介させてください。

真壁「七瀬くん、本当に言わなくていいのか?」
美雪「うん……。」
真壁「ほら、ねっ、はい。」

実は、本作で美雪もあることをはじめに隠しています。それは、「彼女が不動高校を転校すること」です。つまり、美雪がはじめと離れ離れになることを示唆しているのです。

映画のラストの場面で、真壁はそれを言えずにいる美雪の背中を押してくれたのです。最初の『学園七不思議殺人事件』の憎らしさと打って変わり、友人らしく背中を押すところに彼の成長を感じます。

さて、彼が美雪の背中を押したその先、つまり映画の結末がどうなったかは、ぜひ見て楽しんでください。『金田一少年の事件簿』の原作やアニメ、他のドラマでもなしえなかった感動的な展開があなたを待ちうけています。

3.まとめ

『劇場版 金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』は、単なる推理物としての枠を超え、サイコホラー的な緊張感や豪華キャストによる重厚なドラマを楽しめる作品です。

また、90年代後半の上海という時代背景をしっかりと映し出し、現代では見られない風景や文化を垣間見ることができる点も、この作品の魅力の一つです。堂本剛さん演じる金田一とともに、複雑な謎を解き明かしながら、最後まで目が離せない映画体験を味わってください。

4.おまけ

さすがに全作品の振り返りをまとめに入れるのは大変なので、こちらで。

これで、今回の『金田一』シリーズnoteもついに最終回です。このシリーズを通じて、金田一の魅力を多角的に掘り下げてきました。堂本版の「金田一少年の事件簿」は、今振り返っても色褪せない独特の雰囲気や、キャスト陣の卓越した演技、緻密なストーリー構成が光る傑作です。特に、犯人の動機や背景に触れることで、事件を単なるミステリーとして終わらせない、人間味あふれる物語に昇華させている点は、他の推理作品とは一線を画しています。

一方で、当時のトリックや演出に、時代を感じさせる部分もありました。ですが、それもまた「金田一少年の事件簿」という作品の味わい深さです。90年代という時代の空気感、そしてその時代だからこそ許された表現は、今なおファンを魅了し続けています。

このシリーズのnoteを通して、少しでもその魅力が伝わっていれば嬉しい限りです。そして、今回が最終回となりますが、これまで読んでいただいた皆様に心から感謝します。金田一の世界はまだまだ広がっていくかもしれませんので、今後もその動向を楽しみにしています。
これまでのご愛読、本当にありがとうございました。

それでは、〆にこの一言を。

『古臭いなんて言うんじゃなかった。20年後、興味を持った人の目印としてこのブログは残しておこう。どの時代の人が見ても、私と同じように反省するだろうから。』

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あまちゃん@本もたまに読みます
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