自己分析の価値っていくら?
人生の中で、「自分は何がしたいのか」「どんな仕事が自分に合っているのか」「なぜあの人とうまくいかないのか」――そんな悩みに頭を抱えたことが、一度はあるのではないでしょうか。これらの悩みは、簡単には答えが出ません。迷い、立ち止まり、考え込む時間。それは一体どれくらいを占めているのでしょう。
ある調査によれば、人が1日に行う意思決定の数は、約35,000回にのぼるとされています。この膨大な数の選択は、日常の小さな行動から重大な意思決定まで多岐にわたり、「決断疲れ(decision fatigue)」を引き起こす要因のひとつとされています。このような疲労が蓄積されると、重要な判断の質が低下するだけでなく、ストレスや悩みの原因にもなり得ます。
さらに、1日のうち15分間を「悩み」に費やすと仮定すると、それだけで1年間に約90時間、10年間では900時間にも達します。この時間が「悩み」ではなく、自分が本当に価値を感じることに使えたらどうでしょうか。たとえば、家族との時間を増やす、趣味に没頭する、新しいスキルを学ぶといった、自己充実に直結する活動に当てることができるかもしれません。
日常の選択や悩みの多さを減らす工夫として、選択肢を減らしたり、ルーティンを整えるといった手法も注目されています。オバマ元大統領やザッカーバーグ氏のように、日常の些細な選択肢(服装や食事など)をあらかじめ決めておくことで、エネルギーを重要な意思決定に集中させる方法もその一例です。
自己分析の本当の価値は、この「悩む時間」からの解放なのかもしれません。
キャリアに悩んでいるなら、自分の価値観や得意なことを知ることで、次の一歩を迷わず踏み出せるようになる。人間関係に苦しんでいるなら、自分の特性やコミュニケーションの癖を理解することで、他人との関わり方が明確になります。結果として、「なんで自分ばかりこんなに悩まなきゃいけないの?」という負のループから抜け出し、自分の時間をもっと自由に使えるようになるのです。
もちろん、自己分析に時間やお金をかけることをためらう人もいるでしょう。でも、考えてみてください。それは、投資と似ています。今少しの時間とエネルギーを使うことで、未来にもっと多くの「自分の時間」を手に入れるための行動です。
たとえば、ある自己分析ツールを使って、自分の価値観や強みを明確にするのに1時間かかったとします。その1時間の結果として、これからの人生で1年分の「悩む時間」を短縮できるなら、その価値は計り知れません。そしてその時間を、本当に好きなことや大切な人との時間に使えるようになるのです。
「時間=人生」
誰にでも与えられた時間は平等ですが、その時間をどう使うかは、私たち次第です。悩みに囚われた時間を、自分らしく生きる時間に変えられるなら、それは未来の自分への最大のプレゼントになるのでは、と思います。
Xスペースでもお話しさせていただきました。