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起業前に「知らない自分を知る」

「自分は起業に向いているか」
「自分は本当に起業できるか」

起業を考え始めたとき、そんな悩みを聞きくことがあります。

これらの悩みは、本人が自分なりに腹落ちしないと、どんな話を聞いても、どんなアドバイスを受けても、納得できない場合も多い気がします。

「起業したいけど・・・」
そんなモヤモヤから一歩、行動に移すには、自己理解を深めるのも一つ。

心理の分野でよく使われるジョハリの窓(※)でいえば、「解放の窓」を広げるイメージでしょうか。

※ジョハリの窓:自身が見た自己と、他者から見た自己を分析することで、次の4つに区分して自己を理解するもの。

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とはいえ、「自己理解」はいざ、机の前で「うーん」とうなりながら考えても正直、なかなか前に進まないもの。

そんな自己理解を深めるためのアプローチをまとめてみました。


心理テストを受ける

■ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)

アメリカのギャラップ社が開発した「強みの元=才能」を見つけ出すツール。(最近は「クリフトンストレングス」と呼ばれているようです)

書籍でアクセスコードを買うなど有料ですが、Webのテストで自身の強みの資質が簡単に「見える化」できるとあって、気軽に利用されている印象があります。

177問の質問に答えることで、34の資質のなかから、自身が持つ資質の強さの順番がわかります。資質のなかでも「何が一番か」がはっきりわかるのもスッキリしますね。

ちなみに自分は次の3つ。もちろん「強み」の資質しかでないので、すべてポジティブな内容ですが、「最上志向」が1位というのも、ちょっと意外でした。

1位 最上志向
個人や集団の卓越性を高める手段として、強みに注目。優れたものを最高レベルのものに変えようとする。

2位 着想
「着想」の資質が高い人は、新しいアイデアを考えるのが大好き。見た目には共通点のない現象に、関連性を見出すことができる。

3位 アレンジ
多くの物事を整理し組織化することができると同時に、この能力を補完する柔軟性も備える。すべての要素と資源をどのように組み合わせたら、最高の生産性を実現できるのかを考えるのが好き。

■エゴグラム

次に、職場の社員研修でもよく使われる性格診断のエゴグラム。
人間性心理学の「交流分析」をもと自我状態を5つに分類し、その人の性格の特徴を示します。

5つの自我
CP(controlling parent):厳しい親の自我状態(支配性)
NP(nurturing parent):優しい親の自我状態(寛容性)
A(adult ego state):冷静な大人の自我状態(論理性)
FC(free child):無邪気な子どもの自我状態(奔放性)
AC(adapted child):従順な子どもの自我状態(順応性)

簡単な質問に答えるだけですが、単純に各項目が高い・低いではなく、5つの自我を組み合わせて「どんな性格の傾向なのか」が見える化されます。

例えば、合理的に効率よく考える意識が高いが、協調性がなく順応性の意識が低い傾向にある、とか。

おもしろいのは、年齢を重ねると、性格の傾向にも変化があること。
自分もそうでしたが、過去のエゴグラムの結果と比べてみると、自身の変化を感じ取れます。(個人差はあり)

人生経験で性格も変わるんですね。

プロジェクトに参加する

次に、普段は組まないような人たちとチームを組んでプロジェクトに参加すること。

個人的には、心理テストの結果は「自分を再認識する」という感覚が強く、他者との関係性のなかから、自分を知るほうが、気づきのインパクトが大きい気がします。

例えば、
組織内であれば、部門横断的なチームで改善プロジェクトに参加する、新規事業のプロジェクトに参画する。
組織外であれば、副業・兼業の活動やプロボノ活動でのプロジェクトに参加する。

人柄やスキルなどをあまり知らないメンバーで、共通のゴールに向けて取り組むとき、自分のチームへの貢献から、改めて自身への理解が深まります。

自分も、業務外の診断士としてのプロボノ活動は、考えされられる場面が多いですね。

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・あっ、自分は追い込まれるとリーダーシップが取れるのかも
・あっ、自分は対立しているときにの調整役が得意なのかも
・あっ、自分は一歩引いて、俯瞰して全体を見る力が強いのかも
などなど。

メンバーから直接、ポジティブなフィードバックをもらえると、より一層、自身の強みを自覚できますね。

気をつけたいのは、ネガティブな面にあまり着目しないこと

人によっては、他人と比較して、自分ができない点に目がいきますが、自身の強みに着目したほうが、メンタル的にも健全な気がします。
(これは、自分のストレングスファインダーの第1位の資質が、強みに着目しようとする「最上志向」が強い傾向だからかもしれませんが・・)

コーチングやカウンセリングを受ける

最後は、向き不向きはあるかもしれませんが、コーチングやカウンセリングを受けて、対話から自分を知ること。

「起業は不安、でもチャレンジしたい」

そんな悩みを一度、じっくりと第三者である専門家に素直に話してみる。

友達や知り合いに話すと「リスクあるね」「こうしたらいいよ」など、評価や助言の言葉が出てきます。

それらは、もちろん相手を思ってのことだと思いますが、まずは、話をさえぎられずに、自分の素直な想いをすべて話してみる。

専門家に傾聴してもらうことで、自身の潜在的な想いや考えが言語化され、より深く、そして俯瞰的に自分をとらえることができると思います。
相手に話しながらも、実際には自分と対話するイメージかもしれません。

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コーチングもカウンセリングも、モヤモヤしている自分をクリアにしていくのに役立ちますが、ある程度、目標や目指すところが決まってるような場合はコーチングを、まずは自身の価値観や想いを探していくような場合はカウンセリングを、選択してみるとよいと思います。

専門家の力を借りて、自分の深層に潜ることで、ジョハリの窓で言えば、自分も他人も知らない「未知の窓」を広げる機会になるかもしれませんね。

おわりに

知っているようで、実は知らない自分。

自分を知ることの一つは、ちょっと大げさかもしれませんが「自分が何を大事に生きたいか」を問うことかもしれません。

その意味では「起業」は手段であり、自分が何を成し遂げたいのか、という自身の価値観の理解を深めることが、起業に向けた一歩が踏み出せる気がします。

モヤモヤした悩みが続いたら、事業計画づくりよりも、まずは「自己理解」を深めてみることをオススメします。

と言いながらも、きっと「完全な自己理解」なんてものはなく、いつまでも「知らない自分」がどこかにあるんでしょうね。
(むしろ、知らない自分があったほうが、ワクワクします)


おわり