インビジブルレイン
せっかくなので続けて投稿を。こんばんは、そらです。今回は、私の好きな本誉田哲也さんのストロベリーナイトシリーズから『インビジブルレイン』の話をしたいと思います。この作品は、竹内結子さん主演で映画化もされているのでご存知の方も多いかもしれませんが、読まれていない方もいると思いますので、ネタバレは無いように気を付けて書いていきたいなと思います。
最初にこのタイトルを見た時、疑問しか浮かびませんでした。「目に見えない雨」とはどういうことなのか。そして私が読み始めた頃はちょうど映画のポスター公開とほぼ同時期だったので、ポスターに書かれていた「降り注ぐ苦しみは愛か狂気か」という衝撃的な言葉も並んでいました。目に見えない雨が降り注ぎ、それは愛なのか狂気なのか一見わからない。一体どういう意味なのだろうか。
その意味は、読み終わって初めて、そういうことだったのか。という納得につながりました。愛、正義、憎しみ、狂気。それらの入り混じるこの本の世界は、一瞬で私をさらに虜にしました。きっと、読んだことのある人はこの感覚を共有できるのではないでしょうか?そしてまだよんだことのあにひとも、読んでみるとこの言葉の意味が解ると思います。ただ、この問いの難しいところは、問いの意味は分かっても答えは出せない事。考えても考えても、正解がわからないことだと思います。
誰もが心の中で見えない涙を流し、何かに抗い、何かを守り、そのために必死に戦って生きている。そんな世界で、どう生きるのか。もし自分だったら、こういった選択を迫られた時何を優先するのか。言えない傷を過去に負ってしまったとき、自分はその傷とどう生きていくのか。
そういった様々な深い問いが頭に残って今もはなれません。映画の何かの宣伝の折に、竹内結子さんは「いろいろなことと戦っているすべての方に見てほしい」という話をされていました。私も一読者として、同じこと思います。
些細なことでも、気が付かないようなところでも私たちは毎日を戦って日々生きています。この『インビジブルレイン』は、そんな日々の中で何かのヒントになる一冊だと思います。