ミスティア・ローレライはなぜ我々を妊娠するのか。 第I章;国家・社会・みすちー
近代は大陸の西の果てから始まった。それはエーゲ海の合理的思考と喋る磔死体を父にもつ、父権による秩序である。秩序は肥大化し今や全世界を蜘蛛の巣の如く覆い尽くしている。
一方、我々日本人のDNAには父性とは相容れぬもう一つの愛、もう一つの渇望が記されていた。それこそが「母」であり、現世における「ミスティア・ローレライ」である。
日本社会は個人の競争を内心拒んでいる。個人より集団への回帰。古代においては神への崇敬、中世では絶対的な忠誠心や帰依。現代においても自我を組織に埋没さ