ミスティア・ローレライはなぜ我々を妊娠するのか。 第I章;国家・社会・みすちー
近代は大陸の西の果てから始まった。それはエーゲ海の合理的思考と喋る磔死体を父にもつ、父権による秩序である。秩序は肥大化し今や全世界を蜘蛛の巣の如く覆い尽くしている。
一方、我々日本人のDNAには父性とは相容れぬもう一つの愛、もう一つの渇望が記されていた。それこそが「母」であり、現世における「ミスティア・ローレライ」である。
日本社会は個人の競争を内心拒んでいる。個人より集団への回帰。古代においては神への崇敬、中世では絶対的な忠誠心や帰依。現代においても自我を組織に埋没させ、年功序列で出世するという、日本式集団構造。愛国という名の、国家への埋没。天皇陛下への忠義…不可思議なことに我々は自我の独立、魂の自由よりこうした世界そのものへの没入を求めるようDNAに仕向けられているのである。これが強大な「母」の胎内への回帰の渇望である。
日本社会はもともと、大きな「母」に包まれていた母性の国家であり、人類の至極の喜びとは父権から解放された「母」による妊娠であった!
しかし近代は、この渇望を満たすことはない。組織に没入したことで何が得られようか。諸君らが今いる学校、企業、コミュニティ、国家…これらが諸君らを妊娠してくれる母ではないということは諸君らが最も自覚している。こんなものは母ではない。我々が得てきたものは近代の支配である。今やこの世界、この国にあるあらゆる組織・法人・宗教・共同体が近代的「父権」構造へと変遷し、我々を妊娠せずして「支配」しているのである!
私たちは今、渇いている。誰かに妊娠されたいと鳴いている。
我々が浴びるべきは罵りではなく産湯である!
我々が落ちるべきは奴隷ではなく無垢な赤子である!
“我々を妊娠してくれるのは国家ではなく、ミスティア・ローレライである!”
万国の胎児よ、この渇ききった魂たちが、母なるミスティア・ローレライの内より蘇生することを予言する。
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