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【短編小説】朝を彩る野菜🍅🍆



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小さな村の外れに、一面に広がる美しい畑があった。この畑では、色とりどりの野菜が季節ごとに美しく実っていた。そこに住む人々は、何代にもわたってこの畑を守り、育ててきた。


夏の朝、畑はしっとりとした霧に包まれ、太陽が顔を出すと共に徐々に霧が晴れていく。畑の中心には、特に大きく育った一本のトマトの木が立っていた。このトマトの木は、村人たちの中でも特に誇りに思われていた存在だった。


「おはよう、みんな。」
と、トマトの木が他の野菜たちに声をかけた。トマトの木は毎朝、野菜たちと挨拶を交わし、一日の始まりを迎えるのが日課だった。


「おはよう、トマトさん。」
と、隣に生えているナスが返事をした。
「今日もいい天気になりそうだね。」



「そうだね。」
トマトの木は、太陽に向かって葉を広げながら言った。
「でも、この天気が続くと、少し水が欲しくなってくるね。」



「大丈夫、今日の午後には雨が降るって、おじいさんが言ってたよ。」
と、地面に近く茂るほうれん草が教えてくれた。



この畑を世話するおじいさんは、村で最も年配の農夫で、天気や土の状態をよく見て、野菜たちが元気に育つように心を配っていた。



「それなら安心だ。」
トマトの木は、ほっとしたように葉を揺らした。
「僕たちは、おじいさんのおかげで毎日健康に過ごせているんだ。」



その時、畑の端から若いキュウリが興奮した様子で声を上げた。
「みんな!大きなミミズが僕の近くを通ってるよ!すごく立派なミミズだ!」



「ミミズさんたちも、この畑を豊かにしてくれているんだね。」
と、トマトの木は微笑んだ。
「地中で頑張ってくれているおかげで、僕たちも美味しく育てるんだ。」



「そうだね。」
ナスも同意した。
「この畑には、みんなが協力して生きているんだ。」

そしてその日も、野菜たちはお互いに支え合いながら、太陽の光を浴びてぐんぐんと育っていった。村人たちは、その野菜たちを収穫し、大切に使って豊かな食卓を彩った。


畑は、世代を超えて大切に守られていく。そこに生きる野菜たちもまた、次の世代へと受け継がれ、畑と共に成長し続けていくのだった。

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*終*

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