睡眠と耽溺
眠剤を飲んでまで眠ろうとしていたあれは何だったのだろう。
9月から神奈川県三浦市、三崎港のそばにある「泊まれる仕事場BOKO」のメンバーになり、滞在中は文章を書いたり、絵を書いたり、碗琴道の練習をしたり、好きに過ごしながら、何よりも素晴らしいのが、好きな時に眠れることだ。
「泊まれる仕事場」というより「好きな時に眠れる仕事場」として私は活用している。(というか仕事してないから仕事場でもないか)
心療内科で眠剤を処方してもらっていた時、診察でいつも言っていたのが、眠っても2,3時間で目が覚めてしまい、結局ぐっすり眠れない、ということだった。
いつも7時半に仕事を終えて帰り、すぐに眠る。10時頃目が覚めて、明け方4時頃から7時頃まで眠る。10時半から仕事なので結局そのまま起きるのだけれどいつも睡眠が足りていなくて、日中眠たくなってしまっていた。
それが、三崎では、朝方眠って、昼前にお風呂に入って、好きなことをして飽きたら眠って、2,3時間眠ってまた起きて好きに過ごして、外散歩して屋上でタバコ吸って、また2,3時間眠って、お風呂に入って、、、。とにかく眠たくなったら即眠れる素晴らしさ。
睡眠のタイミングを自分で決めることができるだけで、こんなにぐっすり眠れるなんて。
ここに来る頻度を最初は2週間に一度くらい、としていたけれど、毎週来るようになり、ギリギリまで三崎に居たいから始発で行って仕事のある日の早朝始発で帰るようになった。
仕事さえなければいつでも好きなタイミングで眠れるではないか、というとそうでもない。黄金町にいる時はどうも不思議なことに眠れない。
大きな要因として住環境が影響していると思う。暖かくて清潔な浴槽があり、畳の上にお布団を敷いて眠ることができる、広い広い一軒家と、狭いチョンの間では、睡眠の質に影響が出ても仕方がない。
日に日に三崎で暮らしたい願望が膨らんでいる。三崎で一軒家を借りて、自分でリノベーションして好きなように暮らせたら、、、。犬を飼って犬と暮らせたら、、、。欲を言うと一人より二人の方が、一緒に家をリノベーションするのにも、犬を飼うのにもいい。でもそれを期待していたらいつまで経っても同じ場所にいることになりそうだから、もういい。瀬戸内寂聴が50代で捨てたものを私は38歳で捨てよう。男に耽溺すればするほど、男は逃げていく。もう要りません。ばーか。
もう一つ欲を言えば、2階建の建物の天井ぶち抜いて、広い空間のアトリエを作りたい。狭苦しいところはもう嫌になってきた。そこで私は、誰かに何かを言われることなく、好きに制作に耽溺したい。