0080-20180114【ビジネスパーソン必読の主要ニュース解説】
今週の振り返り、時事ポイントは以下のとおりです。
1.北朝鮮情勢(南北会談) 2.北朝鮮情勢(日米韓の連携) 3.世界経済見通し 4.日本株式市場の動向・決算発表
1.北朝鮮情勢(南北会談)
1月1日に北朝鮮から呼びかけがあり、1月9日(火)に韓国と北朝鮮の閣僚級協議が、軍事境界線上の板門店で開かれました。
韓国で文在寅政権が発足してから初めて開かれた2年ぶりの南北協議は、北朝鮮の思惑通りに進んだ印象です。
韓国は平昌冬季五輪への北朝鮮の参加を引き出した一方で、韓国側から朝鮮半島の非核化に向けた対話の必要性に言及されると、北朝鮮は「それは議題ではない」と反発をしました。
10時間を超える会談を経て発表された共同報道文には「南北関係のすべての問題はわが民族が当事者として解決する」と、米韓同盟にくさびを打つような一文も盛られました。
その他、緊張緩和に向けた南北軍事当局者会談の開催も合意に盛り込まれ、北朝鮮は南北間の軍通信回線の再開についても了承しました。
昨年12月には立て続けに北朝鮮兵士による陸路での軍事境界線を突破しての脱北・韓国への亡命が発生し、軍事境界線を隔てた発砲もあったことを考えると、対話のチャネルを保持することは、偶発的衝突や、その拡大の危険性を減らす上で重要だと思います。
ただし、北朝鮮は「核保有国」として、米国と対話し、体制維持の保証を得る目標を追求しており、今回の韓国との南北会談も融和的な姿勢をみせる韓国を利用したとの見方が大勢です。
国際社会が進展があるかと期待した核問題については、議題の俎上に載せることもできずに終わってしまいました。
北朝鮮にとっては、中止を求めていた米韓合同軍事演習について少なくとも平昌オリンピック・パラリンピックの開催中に実施されないことは大きな時間稼ぎになったといえます。
北朝鮮へ強硬姿勢を示してきたトランプ米大統領も、韓国と北朝鮮による対話が進んでいる間は軍事行動を控える考えを明らかにしています。
平昌冬季五輪の開催中は「平和の祭典」の成功を優先する韓国側に配慮を示した格好です。
米韓合同軍事演習は、米軍と韓国軍が朝鮮半島有事を想定して軍事演習を行うことになるため、実際に軍隊の展開が行われます。
演習からそのまま、北朝鮮への侵攻や攻撃などに移行する可能性は常にありえます。
そのため、北朝鮮は演習期間中に即応できる態勢を整えておく必要があり、原油禁輸措置を受けている現状においては大きな負担となります。
当然、核開発やミサイル開発へ振り分ける資金などが目減りすることになります。
北朝鮮としては、選手団や高官などを派遣するだけで3月半ばにパラリンピックが閉幕するまで、大した出費や譲歩もなく時間稼ぎができるため思い通りの結果となったと言えるでしょう。
さらに、「五輪成功」の対価として韓国に制裁緩和などの要求を突き付けることも考えられます。
一方で米国はパラリンピック終了後に軍事演習を実施する方針を堅持しているため、今後非核化に向けた進展がなければ、緊張が一段と高まる恐れがあります。
2.北朝鮮情勢(日米韓の連携)
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