#0145【衣食足りて礼節を知る(管仲、史記の世界)】
1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
今週の歴史小話は中国最初の正史と位置付けられている史記から特徴ある人をご紹介したいと思います。
第一回の今回は管仲(かんちゅう)です。
彼は中国東方の現山東省(山東半島周辺)にあった斉(せい)という国の宰相として、活躍した人物です。
彼には一人の親友・理解者がいました。
鮑叔(ほうしゅく)といいます。
ちなみに中国には伯仲叔季(はく・ちゅう・しゅく・き)というものがあり、長男を伯、次男を仲、三男を叔といい、末っ子を季といいました。
なので、季節の季に訓読みで「すえ」があるのです。
また、実力伯仲などもこの伯仲叔季からきています。
さて、管仲と鮑叔は親友同士でありましたが、仕えた君主は異なりました。鮑叔の君主である斉の桓公(かんこう)が勝利し、管仲は囚われの身となりました。
敵対した相手の腹心であった管仲を桓公はどうしようかと思案しますが、そこで鮑叔は管仲を登用すべきですと進言します。
桓公から、なぜ管仲を推すのかと聞き返された鮑叔は堂々とこう述べます。
「あなたが、斉一国の主として振舞いたいのであれば、私の補佐で十分です。しかし、天下に覇を唱えたいのであれば、管仲が必要です。」
桓公は管仲を面接することにしました。どうやって国を富まし、天下に覇を唱えれば良いのかと。
管仲は「衣食足りて礼節を知る」と訴え、海に面している斉として塩などの産業を興し国民生活を豊かにしていくことが大切であると語ります。
まず与えることから始めるのが政治だというのです。そして、国民生活が豊かになり国の内部が固まってから外へと進出をしていくべきだと伝えました。
この話を聞いた桓公は管仲を宰相に抜擢します。
以降、管仲は斉の国力を上げるために数々の改革を施していきます。その一方で不正に蓄財を行うような人物たちには厳罰で臨み、公平無私の態度で政治を行います。
もちろん、鮑叔も管仲を全面的にサポートします。
鮑叔は公的な場では常に管仲の一つ下にいました。自分が推薦したのにといった感情は一切なく、二人の仲は「管鮑の交わり」と言われるほど親密なものでした。
管仲は、こう言ったと伝わっています。
「私を産んだのは父母であるが、私を理解してくれたのは鮑子(子は敬称)である。」
やがて国力を蓄えた斉は、中国全域に覇を唱えるようになり、各国から覇者として認められる地位を築きました。
桓公も管仲のサポートをしっかりと聞いていました。
三国志で有名な諸葛孔明は、管仲を尊敬していました。
政治家としての在り方を教えてくれる管仲や鮑叔の姿勢から現代も学ぶことは多いです。
以上、本日の歴史小話でした!
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