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「ゼロ秒思考」のトレーニングを1ヶ月やってみた話

夫の本棚に置いてあった赤羽雄二著作の「ゼロ秒思考」と言う本を読んだ。

読もうと思った理由としては、決して「己の思考力を上げたい」という
崇高で勤勉的な理由ではなく、帰省途中の電車の中で丁度よく読みきれそうな
厚さだったこの本を、夫の本棚から勝手に拝借したことがキッカケである。

ざっくり本の内容を要約すると、著者である赤羽さんが独自に開発した「メモ書き」と言うトレーニングをすることでゼロ秒思考ができるようになると言う、仕事などで役立つメソッドを紹介している実用書だ。
「頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング」と表紙にも書いてあるとおり、思考のスピードと質を上げることができる「メモ書き」という独自のメソッドについて、懇切丁寧に説明されている本だった。

その本を読んだ感想と、実際にメモ書きを1ヶ月ほどやってみた感想を
長期休みの読書感想文を期限日までに提出できたことのない私ではありますが、
綴らせていただきます。


「ゼロ秒思考」という本の感想


本を読んだ感想を一言で言うと
著者の赤羽さんのメモ書きに対するこだわりが「凄い」を通り越し、
「気持ち悪い」とまで感じられるような本だった。

マッキンゼーで活躍されてた方にこんな物言いは大変失礼なことは重々承知なのだが意味合いとしては褒め言葉のつもりです。実に気持ち悪かったです。

4章で構成されているのだが、前半1章と2章は
「人間は思考する上で時間は必要ない」「メモ書きがなぜ思考力を上げるのか」といったメモ書きの理屈と魅力についての話が中心で
後半3章と4章はメモ書きのやり方と活用方法などを説明する実践的な内容になっていたのだが、読んでいて本当に面白かったのは後半3章からだった。

1章と2章で語られていることはざっくり言うと
「思考を文字として可視化することの良さ」的なことを説明しているのだが、
過去にツイッタラーだった私としては、自分の脳内思考を
文字として吐き出すことの良さはよくわかっているし、時々自分の思考を
紙のノートに書き散らすということをしているので、前半を読んでいる私は
「なんか、知ってるんだよなぁ…」という気持ちになり
読んでいてあまり得るものはなかったように感じた。

ところが3章の実践的な内容になると、途端にその著者の気持ち悪さが
遺憾無く発揮されることになる。
メモ書きのやり方について、指定がとにかく細かいのだ。

紙はA4横置き、タイトルと日付は紙のこの位置に、メモの書き方はダッシュ記号から初めて20〜30文字以内、4〜6行ほどで書き終えること…etc…

しかもそれら全てに理由があり、
「なぜノートではなくA4のコピー紙が良いのか」
「なぜ文字数は多すぎても少なすぎてもダメなのか」
「なぜ6行以上書いてはいけないのか」
それぞれに端的ながらも頷ける理由をちゃんと付け加えていて、
読んでいくうちに段々とこの異常にも感じられる著者のこだわりが
楽しく感じられるようになってきた。

極め付けはその書いたメモの保管についての説明だった。
A4のクリアファイルにしまうというだけなのだが、その仕分け方についてよりも私が驚いたのは、その仕分けしたファイルに名前を貼るテープの種類から、
クリアファイルのどの位置にテープを貼ったら良いか、ということまで理由をつけて説明していた。
下記にあるのがその方法についての説明文になるが

下から3センチほど離れたところに、フォルダ名の長さを考えながら貼り付ける。
下から少し離すのは、もっとギリギリだとフォルダの中身が厚くなってきた時に剥がれてしまうからだ。

これは明らかに経験から言っている…!!
色々相まって読んでいる電車の中で思わず「ふっ…w」と笑ってしまった。
この一文のおかげで、それまでのメモ書きに対するこだわりも、
試行錯誤を重ねた自身の経験から導き出されたものなのだろうと感じられて、
より説得力が増した。(この話を友人にしたら爆笑された)

こんな目線で読んでしまい、著者の赤羽さんには申し訳なさもあるくらいだが、逆にこんなにもこだわり抜いたこのメモ書きをやってみたい!という気持ちに
駆られたので、いざ実践したのが今年の1月初めになる。


「ゼロ秒思考」のトレーニング方法であるメモ書きをやってみて


大体1ヶ月くらいは本格的に取り組めたが、確かに思考力が上がったように思う。

最初の1週間は特に面白楽しく取り組むことができた。
思考を可視化することの良さは知っていたつもりだし、真っ白なメモを目の前に文を書き出すことがそこまで難しいと感じずに取り組むことができた。
ただフォーマットを守って書くことはなかなか慣れず、楽しいながらも
このメモ書きというやり方にこだわる理由がまだ見出せなかった。

しかし、2週間近くやってこのフォーマットに慣れてくると、4〜6行でメモを
まとめるにあたり、書く内容が自然と起承転結で考えるようになる。
結局このメモ書きフォーマットを守ることで、自分の思考のアウトプットがとっちらかることがなくなるということだった。

3週間目くらいになると流石に1ページ1分で終わらせるという本来の目標までは難しくても、2〜3分では大体書き終えられようになった。
自分の日常で思考力をえらく必要とする場面もないのだが、どうしようか迷ってたりする時の判断する思考力はメモがなくても少しスピードが上がったかもしれない。

今日の晩酌はどんなおつまみにするか。
和風なおつまみを前にどんなお酒を選ぶか。
同じ金額でちょっと良いお酒の少量ボトルで楽しむのか、質より量でお得な
大容量を買って長く楽しむのか。
私のよくある悩みがすぐ解決するようになった。


私のメモ書きの活用方法


本来「1日10ページメモを書く」というトレーニングなのだが、
今は書いたり書かなかったりする日もある状態で、メモ書きを「習慣にしている」というよりは「手段として使っている」という状態になっている。

元々ノートに文字を書き殴って、モヤモヤする気持ちを落ち着かせたりすることがあったが、メモ書きを使って書いた方がもっとモヤモヤに対する答えが
見つけやすく、気持ちもスッキリすることがわかったので、
いつでもメモ書きができるよう、A4コピー用紙が挟んであるバインダーと
書きやすいボールペンを添えて「メモ書きセット」を手に取りやすいところに
常備している。

モヤモヤ発散以外の活用法として、noteで文章を書く前にも使ったりする。
メモ書きで内容をざっくりアウトプットしておき、それを傍に置きながら記事を書くという、文字通りメモとして活用したりしている。
書くネタとして浅いかな、と思っていてもメモ書きしていくうちに意外と内容を深められたりするので楽しい。

陶芸制作をする上でもメモ書きで助かっていることがある。
特に大規模な作品を作るとなると、長期間制作に取り組むことになるので
「どういう作品を作りたいのか」「どういうコンセプトを大切にしたいのか」等
あらかじめメモ書きでアウトプットしておくことで、作っている途中で方向性が迷子にならないような文字バージョンのエスキースとして使えたりする。
それ以外にも長期間制作するにあたって
「自分の中の課題は何か」「制作でリスクに感じていることはあるか」
という心配事をメモ書きでしっかり吐き出しておくことで、モチベーションの
維持につながっていたりする。
ノートではなく紙ぺら1枚なので、目に見えるところに貼っておきやすいのもやはり使いやすい。
思いがけず色々なことに活用できて、メモ書きは私にとって
手放せない手段になりつつある状況だ。

何気なく手に取った本としては思っていた以上に収穫がある本だったし、普通に後半部分は読んでいて面白い本だったので、個人的にオススメできる本だ。
「思考力を上げる」というのが本来の目的である本なのだが、
ビジネスシーンだけでなく、人として悩んだり落ち込んだりする時にも役に立つメソッドなので、なんだかモヤモヤした悩みを抱えやすかったり、
ストレスが溜まりがちな人にもオススメできると思った。
2013年に出た本なので、メモ書きのやり方が気になった方や
赤羽さんの気持ち悪さが気になった人は、図書館でも借りられる本だと思うので読んでみてほしい。

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