家の灯り

家の近くに、大きな公園がある。
大家さんに聞いたところ、昔、大きな工場があった場所らしい。
企業が買い取った土地にはマンションが建ち、国が買い取った土地は公園になった。
遊具などがあるわけではなく、シンプルにでかい原っぱで、周りは走れるようトラックになっている。

自粛期間になってから、時折そこを訪れると、今まででは考えられないほどの人が各々身体を動かしている。
みんな、ずっと家にいるとしんどいものね。

27歳である僕は、時々、1人でベンチに座ってその光景を眺める。子どもたち、大人たちが楽しそうにしてるのは、悪くないね、と思う。

以前、色々あって高校時代の友人と、深夜にこの公園のトラックを散歩したことがあった。
昔は深い話をする間柄ではなかったが、深夜の散歩というシュチュエーションに飲み込まれ、所々灯りのついた、周りに建つマンションを眺めながら友人は言った。
「家の灯りを見るのが、好きなんだよ」

僕はそんなこと考えたことなかったけれど、とてもわかる気がした。
マンションがある、家がある。
ということは、そこに人がいる。
分かりきったことだが、その灯りを見ることであらためて、みんな生活してるんだな、生きてるんだなと感じる。

27歳の男2人で夜の散歩をすると、なんかロマンチックになってしまうことが判明した。

そんなどうでもいい夜を、過ごせることのできる毎日に、早くなれば良いな。

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