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突撃!初見の昼ごはん(追い煮干し編)
実に5か月ぶりとなるマガジン
「ひるごはんのようす」を更新いたします。
よく晴れた日、風はすこぶる寒く、
秋晴れというにふさわしい。
正午になるや否や外へ飛び出し、
以前より目星をつけていた初見のお店へ
ガラガラガラッ
カウンター6席。
4人掛けテーブル2つ、2人掛けテーブル1つ、割と小さめなお店。
厨房はコンパクトながらも、調理器具は整理されていて、手際よく調理が行えているようだ。店主は頭にタオルを巻いた修行後暖簾分けスタイルだが、トップスはTシャツではなく半袖の白衣を着ている。だからどうというわけではないが、真面目で清潔な印象を受ける。
ラーメンの種類は大きく分けて3種類。味噌、醤油、煮干し中華。いつも思うが券売機が入り口にあるのは何とかならないだろうか。じっくりとメニューを見て、持ち前の優柔不断を発揮しながら頭の中で試行錯誤したいのに、入口に券売機があってはゆっくり考えられないではないか!
初見の私はここで
”イチオシ”と書かれた「追い煮干中華」をオーダーする。
店員「中盛り無料ですが、いかがですか?」
ほぅほぅ。
この物価高な世の中にひとこと苦言を呈したい私にとって願ってもないお申し出にござる。されとれ拙者も霜月のはじめには「けんこうしんだん」なるものを控えておってな、ハハハ。武士は食わねど高楊枝というであろう。あれは後世に町人が作った風刺画が元だとされているのだ。よいか、みなまで言わすな、その、ほれ、そうじゃ。わかるであろう?
1号「では、中盛で」
しかし、もしも口に合わなかったらどうしようか。張り切って中盛り無料をお願いしたものの、一口食べてギブアップするほどのクオリティだった場合は、泣く泣く「ごちそう…チラッ…さま…チラッ…でした…チラッ、チラッ」といって店長の顔を伺いながら席を立つハメになるぞ。残された丼を見て店長はどう思うだろうか?「もう!プンスカ!まったく!失礼しちゃうゎ!!」となってしまうだろうか。そう考えると160gという普通にしておけばよいのだが、だが、だ…ガッ!
デデッン!
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芸術作品とも言える綺麗な盛り付けからは、店主の誠実さと洗練された技術が伺える。優しく配置された具のラインナップは白髪ねぎ、カイワレ、海苔、チャーシュー、メンマ、もはやフル装備ともいえる充実さが天を指すように上に向かって積み重なっている。煮卵が欲しい奴は課金アイテムなので券売機へGo
さて、まずは香り。
煮干しと醤油の香りが優しく立ち昇り、全体的に柔らかな和の印象を持たせる。しかし、その中にキリリとした爽やかな潔さのようなものを感じる。いい意味で非常にまっすぐな育ちの良いラーメンさんという印象。
次にスープ。
確かに感じる強い煮干しと、魚粉のガツンとした香ばしさがある。これはエリアでもよく見かける、つけ麺のつけ汁とスタイルは似ているが、奥深い醤油ベースが非常ーッに、まろやかで深みを感じるため、ずっと飲み続けられる安定感とポテンシャルの高さがここにある。
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麺は細麺🍜
これは大当たりの予感しかしない。極細麺のスルリとした口触り、しかし嚙んだ瞬間から口内には芳醇な小麦の大地が広がり、小さなラーメン店にいたはずの自分がいつの間にか大自然の恵みを体全体で感じられるほどに、つまり中盛りがジャスティス。この食感は日本人のみならず伊、そうイタリアーノも納得のアルデンテといえよう。とにかく、啜って、噛んで、食べる。一見当たり前に思えるこの行為が、どんなに尊いことなのかと思い知らされると私の中で評判です。
おや?
丼の端に何やら見慣れぬものがこびりついてます隊長!いったいこれは!?およそラーメンに似つかわしくない色の粘性のありそうな個体。ここは慌てずに調味料であると考えるのが自然。
1)わさび
2)からし
3)にんにく
4)ゆずこしょう
5)特製スパイス
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店からの説明は一切ないが、ごく当たり前のように丼の端に「しれっ」と付着している。だが、その得体のしれない物体をモノともせず、なんと隊長自ら箸にとってチャーシューに付けたのであった!それを口に運んだそのとき隊員に衝撃が走るゥゥゥ!!
パァァァッ♪
さわやか3組よりさわやかな香りが脳にまで達し、そのまま視力が0.2回復するまでは至らないほどの、フレッシュでスパイシーな衝撃、これがチャーシューに合う!肉の周りを取り囲む醤油タレの濃い目の甘辛い味に、中心部の「まだ誰のものでもありません」と言わんばかりの絶対不可侵条約済みと言わんばかりの脂身のトロさ加減に無遠慮に突き刺さる「ゆずこしょう」が勝因ですかね。次シーズンも積極的に狙っていこうと思います。ありがとうごじゃりました。とインタビューで噛み倒したい。
◆
和のテイストに振り切った「追い煮干し中華」は、上品で濃厚で奥深い味だった。終盤にゆず胡椒をスープに溶くことで、さわやかさが加わり飽きさせない工夫も功を奏している。次回は妻と来店し、辛味噌 対 背脂醤油 という壮絶な戦いを皆様にお届けしたい。
では。
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