人生は洗濯の連続　（ショートショート）

　三途の川を渡り切り、船頭が魂をコンパクトに圧縮した包みを、岸辺で待機していた牛頭馬頭に渡す。

本日の分は、極楽往生魂が２０，残りは全部人生の悩み苦しみが消えないままの魂が２万ほど

最近は真っ黒な魂が増えたの～

そうですね。あなたたちもご苦労さん。それではまた明日……

　牛頭馬頭は船頭を見送った後、包みを開けて一気に解凍する。すると岸辺一杯に魂があふれ出た。無色透明なものは、すぐに宙に浮いて、極楽へと自動的に飛んでいく。
　残りはほとんどが色付きで汚い。泥付きのものや、血液がついたままの魂も多い。牛頭馬頭たちは、それらを川の水で金棒を使って、じゃぶじゃぶ洗っていく。
　洗っていくうちに水面に浮いていくものは軽罪なので、簡単に網ですくって人生をやり直しさせる。問題は真っ黒なまま、底に沈むものだ。
　牛頭馬頭は強力な魂漂白剤をかけ、その後強力な魂洗剤をかけて何度も洗濯をする。洗わないと閻魔大王が罪を判定できぬので大変なのだ。