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台にアニバーサリー (バレエショートショート)

奨励さんがもらってきた昭和時代の丸いちゃぶ台がバレエレッスン場に持ち込まれてきた。少し小さめだが、ちゃぶ台に乗って踊ることはできそう。みるなり、コンクールクラスにいた藍たちは全員歓声をあげた。

ステキー!
2台もあれば、2人同時に踊れるよね、すごい!
あっ、先にのぼっちゃダメ、順番を決めよう!
皆で振付をアレンジして新版を作ろうよ!
うわ、楽しい!

井伊野だけは首をかしげた。
「なんに使うんだよ、こんなもの?」

藍たちは、ぴたっと会話をやめて、井伊野をじっと見る。
「な、なんだよお前ら」

…ベジャール
「べじゃーるってなんだよ」

ベジャール知らないの?
「知らね」

じゃあ、ボレロは?
「知らん」

 突然藍たちは、両肘を直角に曲げて上半身を前後に振って踊り始めた。奨励さんが節をつけて歌ったが、井伊野はまだ首をかしげている。
 奨励さんは井伊野に、このバレエスクールの創業二十年記念に皆でボレロをやるから動画見てこいと言い渡した。



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 たらはかにさまの企画に参加中です。
今週のお題は「台にアニバーサリー」です。


ベジャール振付のボレロ。バレエ好きなら多分皆知っている。初めて見せてもらったときはとても感動して、当時1万円以上したVHSのビデオを買って毎日観ていました。

振付自体は難解ではないが、なんというか真似しやすいし、盛り上がっていく音楽とぴったりあう。こういうものは普遍的になりやすい。そして中心で踊るダンサーの個性もでやすい。

初演は女性だったが、途中からジョルジュ・ドンになって、大人気になった。この時はまだ周囲のダンサーは着衣。

画像荒いですが、ぜひご覧になってください。神作です。ドン、かっこよかったよ!


下はギエムの最終公演のもの。さすがの貫禄。


首藤康之さん。この人もカッコいい。


上野水香さんと柄本弾さん (ダブルキャスト)


かような名作が東京バレエ団で上演されることが多いのはひとえに東京バレエ団の創始者、故・佐々木忠次氏の功績による。ベジャールは佐々木氏のバレエにかける情熱を信頼していたのだよね。そうそう、東京バレエ団でボレロを公演するとき、ダンサーは裸が一番だろって佐々木氏が言って、それで全員上半身裸で踊ることになったそうです。(女性は肌色のボディスーツを着用)


これでラストです。伝説のマイヤ・プリセツカヤさんも踊った。(昭和時代なのでコールドダンサーは着衣)


ありがとうございます。