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秘密警察を宣伝してみる (バレエショートショート)

藍が通うバレエスクールにはミニオーディオルームがある。先生に使用許可をもらい創作バレエに使う音楽を編集していると奨励さんがやってきた。

著作権に気をつけろよ。音楽のみならず振付にも著作権がある。あるダンサーはそれを知らずして舞台で踊り、あとから振付師から多額の著作権使用料の請求がきた

振付も曲も著作権のないものですので

藍くん、君はバレエ秘密警察の恐ろしさを知らぬ

バレエ秘密警察? 聞いたこともありませんけど

実は私がそうだ。まめにバレエ公演と演目をチェックしてだな

えっ、それは皆さんに絶対に嫌われます

まあな。しかしバレエ界は清廉潔白であるべきだろ。だから無料で助言してあげ…

あ な た


奨励さんの背後から先生の雷が直撃した。奨励さんは先生に引きずられて去ったが1枚の紙を落としていった。そこにはバレエ秘密警察決算報告書とあり、収支決算ゼロどころかマイナスとなっていた。

藍はそりゃそうでしょう、と肩をすくめ、再度編曲にいそしむ。


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たらはかにさまの企画に参加中です。

バレエ界でも秘密警察というほどではなくても、著作権にかかわることを調査する人はいると思います。

過去ベジャールの振り付けを許可なく舞台で踊り、問題になったダンサーがいます。ルジマートフですが私はその舞台も見ています。彼もまたバレエに魅入られた人間で観客をだましたりする意図は毛頭なかったと思いますが(というより彼は踊れたらなんでもよくて著作権等お金に絡む話は苦手そうな印象がある)現実は双方の会社に弁護士が入り決着がコレです。


バレエ公演で使用した音楽が著作権使用料が必要で、公演直前にあわてて支払ったという話も聞きます。あと振付家では特にバランシン作品の使用する際のチェックが厳しい。ただの観客にはわからない複雑な取り決めがあるようです。

以下は日本バレエ協会の公式より注意喚起文
j-b-a.or.jp/o/members_room.html
読むだけでめっちゃコワいです。バランシンはバランチンとなってますが、どちらも間違いではありません。
↓ ↓ ↓

バレエ作品の著作権に関して
 
 多くの近・現代振付家の作品は著作権が保護されています。従って基本的に著作権所有者の許可がなければ、それら作品を上演することは違法行為となります。
 また著作権使用料を払えば上演(踊れる)できるのかと言えばそうでもなく、たとえばバランチン作品の場合、バランチン自身から直接振付を教授された指導者に振り写しを受けなければならない等、勝手にビデオ等から振りを写す事は許されません。
 バランチンの場合は、アメリカにバランチン財団より管理委託をされたエージェントがあり、ロシア関係ではRAO(ロシア著作権協会)が管理する作品(ワイノーネン等)がありますので、くれぐれも無断上演は行わない様、ご注意下さい。
 まして現存振付家作品の上演には、必ず本人の上演許可が必要となります。これは入場料徴収の有無に関係ありません。


1人で自己流で好きな踊りを踊って自分1人だけ幸せならいいけど、観客がある程度来ないとお金も入らない…難しいよね人生は。

ありがとうございます。