半分ろうそく (ショートショート)
酔っぱらった叔父が目覚めると叔父の周囲に無数のろうそくが宙に浮いている。道路で寝ていて車とぶつかったはずだが、ここはどこだろう。
ろうそくルームへようこそ
声のする方へ振り向くと黒衣の人がいて、その人の手にろうそくがあった。ただ、燃え尽きようとしている。黒衣の人は事務的に語る。
これ、あんたのろうそくです。まもなく寿命がつきますね。道路で寝るから車にひかれて即死です。ではさようなら
嘘だろ?
まだ生きていたい?
当たり前だろ
じゃあ、誰かのろうそくを次いでやろうか?
ちょうど半分だけであとはいらないってやつのろうそくがここにある。足してやろうか? 御礼は足した寿命分の微笑みをもらう
ここでやっぱり嘘だろうと思うだろ? でもあの時は長生きしたくて必死だった。
叔父の話はここで終わる。確かに叔父は事故の後遺症で寝たきりになり、顔の筋肉がひきつり笑顔を出せなくなっていた。
黒衣の人が誰かは知らぬが笑えぬ話だ。
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