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令和6年10月11日(金)のあたりさわりないエッセイ日記

今年も10月1日から31日まで毎日エッセイ日記を書くことにしました。


本日のテーマ
ドライアイに悩む女が開業眼科医をはしごして思ったこと(ついでに歯科医の話)


 わたしには昔からドライアイの症状がある。大量の本を系統だてて読むときなどにはひどくなる。でも読むのはやめられない。目の渇きは、目の存在を意識させる。ああ、我が目に無理をさせているなあ……。
 目の渇きに即効性のある目薬が欲しい……近年ドライアイの点眼薬の在庫管理が心もとなく、たくさん欲しいのに医師も2本ずつしか処方してくれない。勤務先薬局でしょ? と、おっしゃる方、在庫管理が厳しく職員でも売ってくれないのです。その辺は職場はきちんとしている。

 それで時間のある午後に一気に三か所眼科医をはしごしました。いわゆるドクターショッピングだが、まもなくこういうことはできなくなる。今のうちに……。
 その理由はマイナンバーカード。現にわたしの気に入りの眼科ではマイナンバーカードによる個人情報の閲覧は可能かと聞かれた。現時点では選択肢があり、拒否をした。ドクターショッピングがばれるから。今はまだバレない。
 最近マイナンバーカードは、マイナカードもしくはマイナって呼ばれていますね。愛称ではないけど、そうなっていくのかな。以上前置き。


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 ドライアイで眼科受診。
 目がかわくと、いいことなぞ一つもない。そう、わたしはヒアルロン酸ナトリウムの点眼が好きな女。根本的な治癒にはならぬが、それを点眼すると、目どころか心もなぜかほっとする。しかし、ドラッグストアでは令和6年10月現在では売ってくれない。医師による処方箋でしか入手できない。

 眼科医によっては予約なしで行っても待ち時間が短くてさくさくとすすむところがある。ろくに話をきかないでホイホイと薬をくれる眼科は、薬だけ欲しい患者にはいいが、診察もいい加減だ。白衣は着ないでアニメのシャツを着て(子どもの患者が怖がらないためだろうけど)それが薄汚れている。正直あまり気分はよくない。

 そこの医院の玄関や待合室は、昭和時代からあるので、レトロながら当時はお金をかけたのねというデザインだ。見る分にはいいが、肝心の開業医が……。

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 創始者の跡継ぎにやる気がないのはすぐわかるパターンだった。診察室のデスクに新聞や週刊誌が置いてあるところは確定。時に灰皿も。
 最初に見たときは、すごく驚いたが過疎のところではそれでも医師の数が少ないのでやっていけるのだろう。

 そういうところでは消毒についての概念が欠落しているところもある。医師がそうなら、雇用されている看護師もそうなる。そこでの診察は先日特に不快だった。
 不潔でたばこ臭い手が伸びてわたしのまぶたをいじられるのは非常に苦痛だ。しかもドライアイに加えて逆さまつ毛があるから、とってあげましょうと三本ほど取られた。そんなの自分で取ってるよ。(しかも診療明細にはまつ毛抜去多数と書かれていた)
 でも患者の立場としては、医師の提案に断りにくいのはわかってもらえるでしょう。案の定ピンセットもそこらへんに転がしているものをそのまま使用されていた。
 抜いたまつ毛、どうするのかと見ていたらティッシュをぬぐっているだけ。膿盆もガーゼも使わないのか? 
 頭に来たが我が眼を触る医師相手に指摘はできぬ。帰宅後に、家に残っていた抗菌剤の点眼をさして感染予防をしたことは言うまでもない。

 眼科医でなく、開業歯科医でも数年前にそういうことがあった。この時は、手袋が臭ったのでわかった。わたしは内向的で他人に指摘ができる性格ではない。そこは親子でされていたが、父親が高齢で引退され、年老いた子が他の歯科医を雇わずに一人でやっている。
 昔ながらの開業歯科で、六人ほどの患者を一列に並べて順番に診ていくが、手袋はそのままで口臭のある患者の次にわたしの歯を診に来られた。
 この時もわたしは気が弱いので拒否できず、診察後にお手洗いにかけこみ 持参していたペットボトルのお茶で何度もうがいをした。さすがに歯科医を変えたことはいうまでもない。

 こういうのは、例の薬剤師Yと同じで罪にはならない。でもわたしは苦悩する。いちいち気にしていたら、自分が損だから流していかないといけない。やる気のない、いい加減な開業医さんたちも、多分その環境から逃げられないのだろう。これも人生。


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本日のショートショート

「ナナメの海辺にて」


 そこは潮風が強く、海岸沿いの松の木が全てナナメになっていた。船も家もナナメ。歩く人間も犬もナナメになっている。顔の造作もナナメ。眉毛も目も鼻も口もすべてが下からナナメにあがっている。僕はそれを研究したい。

「ルーツを知りたいのでDNA検査をさせてくれ」

 ナナメ人はきっぱりと断る。

「調査の必要性がない」

 がっかりしたが、何度も会うとナナメ人たちの態度も変わるだろう。目論みは当たり、打ち解けたナナメ人たちから夕食に誘われた。初めてのことだ。
 ナナメの家のナナメの部屋で、ナナメ魚の刺身をすすめられ、たくさんいただいた。すると体全体がナナメ上に引っ張られる感覚がする。身体中が全部ナナメ上にひっぱられた。
 ナナメ上の重力に従い、ナナメに歩くと楽だ。僕は立派なナナメ人になった。常にナナメ人に対しナナメ上の気分だったのを反省した。
 研究する意思もなくなった。
 そしてまっすぐに歩く人間と打ち解ける気もなくなった。
 ナナメ万歳。

小説家になろう/ふじたごうらこ



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