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決闘年越しそば (バレエショートショート)

 井伊野は、「ロミオとジュリエット」のティボルト役に抜擢された。主役は当然プロが演じるが大張り切りだ。
 対するロミオ友人のマキューシオ役はブローノバゥナで彼の師匠にあたる。役柄では犬猿の仲で、斬りあいになりロミオも巻き込む。マキューシオの死に怒ったロミオはティボルト役の井伊野を斬り殺す。その結果、ロミオは追放になりジュリエットとの恋の行方も危うくなる……この決闘シーンは話の流れが変わる重要なシーンだ。
 ただブローノバゥナと井伊野では技量が段違いで違和感がある。振付師は井伊野の降板を告知した。しかし井伊野は拒否し、ブローノバゥナも「彼にチャンスを与えてやってくれ」と助言した。振付師は年内に踊れたら続行すると折れた。それには井伊野のバレエの技術を早急に底上げしないといけない。
 二人は毎日壮絶な決闘シーンを練習し、大晦日に井伊野はとうとう役を勝ち取った。井伊野はブローノバゥナに年越しそばを御礼に奢った。



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たらはかにさまの企画に参加中です。
今週のお題は「決闘年越しそば」。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。



バレエで決闘といえば、これが一番かな。決闘シーンは重要です。マキューシオはブローノバゥナがやって当然ですがティボルトに素人の井伊野が抜擢されるのはあり得ないけれど、まあ創作ということで許してください。下記はボリショイの決闘シーンです。1分半。間に入ってなだめている青い服がロミオです。



ブローノバゥナってどなたですか? という人へ。
「プロのバナナ」という作品を、手っ取り早くそのまま人名にしました。
彼の初登場作品です。


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ふじたごうらこ
ありがとうございます。