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令和6年10月16日(水)のあたりさわりないエッセイ日記
今年も10月1日から31日まで毎日エッセイ日記を書くことにしました。
本日のテーマ
老々介護
患者が成人した子どもで、老いた親がつきそう……数組は来る。小児科では当たり前でも、患者が40,50代で年老いた親、70代~90代が付き添ってくるパターン。それが定期的な薬の場合、本人が何らかの理由で、薬局まで取りにこれない状態の場合、親が代理人として受け取りに来る。
親が若いとまだ将来の展開に希望をもち、時には愚痴も言う。言ってくれた方がありがたいが、薬剤師としては介入できず、何を言っても墓穴になる。だから黙って傾聴する。薬は安心して飲むもので、同居している家族の理解も協力も必要な場合が多いから。
親子の仲が良いか悪いかも、わかる。親子仲が良いのは少なくて、親が毒ではないかと思うパターンもある。
ずいぶん昔の話で、先輩薬剤師がそういう親に対して怒りだして「黙っていなさい」 と声を荒げたことがあった。普段は穏やかな人なのに、形相が変わり、その親の顔に、両手のひらを向けてスレスレまで遮った。
患者である40代の息子が無口でいつも下を向いていて、母親がおしゃべりという、わかりやすいパターン。患者に質問しても親が代わりに答える。それに腹をたてた。
先輩は言うだけ言うと、元の優しい表情に戻って「あら、言っちゃったわ~でもあなた普段からちょっと出しゃばりなのよ~」 と微笑む。
親の方は怒るかと思いきや、蒼白になって、いまさらのように周囲をきょろきょろしていた。多分普段の自分の行動がどう思われるかわかったのではないか、患者自身はあいかわらず自信なさげに下を向いていたけれども。
子どもに対してだけ怒るパターンは、子ども以外に向かって怒れないのは定番です。
90代の親が杖をつきつき代理受け取りに来る。その人はいつも私が死んだらあの子はどうなるのか、という話をする。あの子は60代後半。年の割にとても元気な人で、あの子のために長生きしないといけないという思いでここまで来たという。
でも通院代、薬代、往復タクシー代も生活を圧迫し、困窮して相談してきた。病院の福祉士通じて保護を勧めた。
律儀な人で、子どもを施設に、私も別の施設に行くと挨拶された。
結局はそうなるかと思うが、90代の親がやり切ったという表情だったのが強く印象に残っている。そうだよね、やり切ったのは逆にさっぱりするよね、心穏やかに過ごせますようにと願う。
」」」」」」」」」」」」」」」」
給食 (ショートショート)
神Aが私の前で腕組みをして睨んでいる。給食を残させまいとしているのだ。
本日のメインは庶民家庭用節約唐揚げ一個で上には義親介護ふりかけ、横に子供の反抗期サラダ、夫の無関心漬物、重課税林檎もあり美味しくなさそう。かつては初めてのキスタルト、白打掛素麺、安産ミルク、時折ボーナスパイや国内外旅行プリンもあったのに。
前の座席からは、熱愛焼肉の甘い匂いや称賛ステーキの匂いがする。それが大盛の人もいるというのに私との落差が凄い。
全く箸を動かさぬ人は病気介護貧乏トリプルチャンプルメニューが多い。でも彼らには神Bの手配による助っ人がいて食べさせてくれる。私には何もない。神Aは早く食べろとせかすだけ。細々と食べていると神Cが表れて「こうすれば多少は食べやすい」と、おろし癒し大根ソースを添えた。
私は日々神々に見守られ完食の努力をする。残すと明日以降のメニューがもっとひどくなるのでとてもつらい。
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