ひと夏の人間離れ (バレエショートショート)
シェイクスピアのバレエ作品といえば、「真夏の夜の夢」 が一番有名だろう。曲はメンデルスゾーン。あらすじは、ドタバタ恋愛ものだが、この中で藍は妖精の女王、タイターニアを演じることになった。内輪でのミニ発表会とはいえ、ヒロインになった。妖精王、オベロンのいたずらで、魔法の花に触れて一番最初に目にしたロバに恋をしてしまう。
それはよい。
井伊野がオベロン役なのが問題だった。この舞台では踊りとしてのからみはなく油断してしまった。井伊野は花に仕掛けをしていた。タイターニア演じる藍に、事もあろうに胡椒をたくさん振りかけた花を顔にかざす。藍はくしゃみを我慢した。怒りたかったが本番中で観劇している子どもたちの夢を壊してはならぬ。くしゃみと怒りを我慢しつつ、目の前のロバと笑顔で楽しそうに踊る。苦行だが、やりきった。終わると涙と鼻水と冷や汗で衣装がびしょびしょになった。先生たちはやはり藍の異常を察知していた。井伊野はとうとう退学を命じられた。
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今週のお題は「ひと夏の人間離れ」です。
真夏の夜の夢の超縮小版
東京バレエ団、1分半
ロバの踊りもあります。
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