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モンブラン失言 (バレエショートショート)



井伊野は先生の怒りを買い、バレエスクールを出禁になったが、単に井伊野が言っていいことと悪いことの区別がつかぬだけで、根は悪くないことは皆知っていた。それに単なるモブの役でも井伊野はいないよりはいたほうがよい。男性生徒は数が少ないので貴重だ。

先生に呼ばれて、井伊野は、やってきた。手にはケーキの箱を持っている。

あ、コレ。お詫びっす。全部モンブランっす。

先生はまだ厳しい顔だ。

キミ、反省してる?
バレエは遊び半分でやるものじゃないのよ。キミはクチは悪いし、ふざけて踊る時もあって、真剣に教えている身としては非常に不愉快なのよね。

そこへ奨励さんがやってきて、空気も読まず、井伊野に話しかけた。

久しぶりだなあ。キミ、日焼けしたなあ。バレエ全然してなかっただろう?

あ、そっすね。このモンブランと色合いといい同じぐらいの日焼けっすね、アハハ。

真面目に聞きなさい!

先生はあと1ヶ月の謹慎の追加を与えた。
これを奨励さんはモンブラン失言と称した。



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たらはかにさまの企画に参加中です。
今週のお題は、モンブラン失言です。


◎◎◎余談として◎◎◎

万年筆の方のモンブランでは文化賞を作っており、熊川哲也氏が受賞されています。画像にはデヴィ夫人もいます。現在はこの賞はありません。



ありがとうございます。