籠の中の処女は沖縄の海辺で自ら服を脱ぐ
家を出た時は大雪だったというのに機内は春のように暖かい。タラップを降りるときに、カシミアのロングコートを着ているのは私一人であることに気づいて脱いだ。沖縄では防寒着は不要。というわけでこれから搭乗する女性に「よかったらもらってください」と言って差し上げた。戸惑いながらも笑顔で受け取ってくれた。幸先が良い。普段の私なら見知らぬ人に話しかける行為はしない。だが私はこれから生まれ変わる。トートバッグには財布とハンカチとテイッシュと紙ナプキンしか入っていない。帰りの切符はないのでと