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運命の日に日向

 宮崎県日向市、鑑定の仕事で時々この地を訪れている。
 2022年11月8日、この運命の日に私は日向にいた。
 運命の日とは「皆既月食」の日のことだ。

 皆既月食(天王星食)を見ることができた時間帯は鑑定業務を終え宿に戻る頃だった。帰途につく頃から徐々に月が欠け始め、オレンジ色に照らされた日向の街は幻想的な雰囲気を醸し出していた。

 赤黒く染まった月を宿の窓から見ていると、どこか異国情緒に浸っている気分になる。
 日向といえば、クルスの海(「叶」という文字の形をした海)やサーフィンが盛んな日向灘で有名な景勝地だ。特に自然の造形物であるクルスの海には神秘性が宿っており、こんな運命の日に日向の地に自分がいたことに特別の意味を感じてしまった。

日向市役所バス停前にて

 翌日、仕事帰りに立ち寄った日向灘は穏やかだった。
 はるか向こうをタンカーがゆっくりと横切っていく。

日向灘の波は穏やかだ、心地よい時間が過ぎていく・・・

 残念なことに、この街の景気は未だやや低調で人口減・コロナ禍の影響を引きずっている。
 さて、そろそろ時間だ。最後に駅からほど近い有名な「とんかつ屋」に寄ってこの地を去ることにしよう。
 
 日向の街は今日もまた淡々と日常を刻み続けている。
 
 

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