筑後の果てへ
福岡南部・筑後市に鑑定出張した。
博多経由で「羽犬塚駅」へ到着した。背中から羽を生やした犬の銅像が駅前で私を出迎えてくれた。
羽犬塚の名前の由来は、豊臣秀吉が羽の生えた犬が走るのを見たと言う伝説によるとの話もある。面白い地名である。ただ、街は平凡に映った。
駅近くの小奇麗なビジネスホテルに宿を取った。近くにスーパーもあり、市役所からも近く便利だったからだ。ここで一泊し不動産鑑定評価のための調査活動に入った。
ホテルの周りに飲食店がない事に焦りを感じ大通り沿いのスーパー前の見覚えあるカレーチェーン店に入った。
取りあえず空腹を満たしそれなりに満足したがどこか味気なかった。恐らく今はシャッター街となっている商店街には昔は流行っていたであろう、小粋な居酒屋かなんかがあったはずで、そんな光景に憧れたからだろう。
やはり田舎は人が来ないと寂れてしまうのかと思い、日本中どこにでもある同じ味のカレーを仕方なく食べた自分に諦めがついた。
一方で人々の訛りが独特で親近感が持てた。故郷を思い出した。素朴で真面目で明るい人々が印象的だった。市役所職員の方、タクシーの運転手、ホテルの従業員さん。中でも運転手の話には興味をそそられた。
「こう見えてもここは筑後の中心部。昔の宿場町でそこそこ栄えとったんじゃで、本当にいいまちだ。」
ほのぼのとした気持ちになった。
「やっぱり旅はいい。日本は広い。まだまだ知らない世界がいっぱいあるな。」
私は、地方都市のそんな雰囲気が気に入っている。
隣の八女市も含め、南福岡はたまに行くなら良いまちだ。いつかはここをゆっくりブラブラのんびり旅してみたい。