心の中の崖
いつの頃からか、私の心中には断崖絶壁の崖があった。私はその崖の落ちる手前ギリギリに立っていた。
人は前を向いて頑張れって言うけど、
私がこのまま前に進めば落ちて死んでしまう。
どうすればいいの………………。
どれだけ長い時間、年月そう思ったか。
崖から見える景色にも見慣れた頃それは突然訪れた。
私は今までずっと必死で登ってきた崖を見てたんだ!
登っている最中は必死で、自分の感情を感じてる場合じゃなかった。
だから登りきった場所で、その時味わえなかった感情を、あの時は苦しかったあの時は辛かった、
って一生懸命感じていたんだ、味わってたんだ。
って事は進むべき方向は後ろだ!
前を向いてるつもりでずっと今まで来た道をふり返っていたのか。
(苦しむ時間は長いけど、何かに気付く時は一瞬だ。)
そう分かって後ろをふり返ったら、ろくに草も生えてないだだっ広い大地が広がってた。
空はまだどんより曇り空だけど、雲の切れ間から光がさしてた。
私はこの道も出来てない所をこれから歩いて行く。
何故だかはわからないけれど、強くそう感じた。
と同時に強烈な寂しさに襲われた。
必死に生きて来た今までの自分と、
もうサヨナラする時だとわかったから
もう振り返らない。
振り返れない。