読書ノート 「リュシス 恋がたき」 プラトン 田中伸司・三嶋輝夫訳
「リュシス」は古代以来「友愛あるいは友について」との副題がついている。友とはなにか。最終的に、わからないという結論で終わるのだが、そこまでの思考、対話、逡巡、袋小路、アポリアの発見で、人間や愛などについて思いを馳せるのが、本質的な目的であろう。良き者同士、似た者同士が仲良くなるだけではなく、その反対の者同士の友愛を論理的に納得感を持って説明することなど、できない。これは「意識」の薄っぺらいところ、イデア的な顕在化したものしか見ない「意識」には困難で、やはりフロイトの「無意識」の登場を待たなければならない。ギリシア時代は明晰な考えが一般的、普通で、それ以外のものには霊やダイモーンの位置づけを与え、少し低きものとしてみることで、歪な世界が浮かび上がっていたのだろう。
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