見出し画像

読書ノート 「日本の歪み」 養老孟司×茂木健一郎×東浩紀



 考えるエネルギーが切れているので、コメント収集に徹する。
 世の中は歪んでいようがそう「なって」いるのだし、それにはそう「なった」理由があり、その原因を考えるとき、そこにはやはりある種の歪みがあり、それを彼らは炙り出している、と言った感じか。つまりはそこからどうする、は、われわれ読者に委ねられているのだ。


  • 養老「日本がガラッと変わる節目には災害があります」

  • 関東大震災→大正デモクラシー・大正ロマンから軍部一辺倒の戦争の時代へ

  • 1854年の安政の大地震→安政の大獄、倒幕運動へ

  • 茂木「そもそも人間には「自由意志」は実体としてはなく、全ては幻想であるとも言えます」

  • アイデンティティ・ポリティクス(文化・民族・性など個人の属性や所属に基づく政治的活動や主張)は科学的な世界観と整合が取れないのではないか。

  • 東「自由意志というのはレトロスペクティブ(遡行的)にしか現れない」

  • 養老「死というのは二人称しかない」東「ヨーロッパの哲学には、死について語る言葉が一人称か三人称しかない印象があります。なぜ二人称がないのか。これはぼくの直感ですが、ヨーロッパの哲学において二人称的な「親密さ」があまり重視されていないからじゃないでしょうか」「この二人称的な親密さを消すことがカント的な倫理学の方向性」「「近い他者」と言う問題について考えるのが苦手」「二人称の(ローカルの、親しい)追悼について考えていない」

  • 茂木「最近ネットで流行っていた「老人は集団自決せよ」と言う言い方も、二人称がなくて一般論に飛んでいる。植物状態の方が生きる意味があるのかみたいなことを言う政治家にせよ、相模原障害者施設殺傷事件の犯人にせよ、たしかにヘイト発言はどれも三人称ですよね。カントの定言命法が、下手したらナチスに繋がってしまうというのは、本当にその通りだなと思いました」東「ハンナ・アーレントが言ったことのもっとも重要なところです」

  • 東「普遍性を追求するということがいかに危険かということ」

  • 東「日本は夫婦別姓より先に同性婚が実現するかもしれませんね。背景には外国からの圧力が大きい。夫婦別姓は外圧がないので一向に進まない。その現状はいかにも日本的だなとみています」

  • 念仏、サンスクリット語で書かれたものを中国語に置き換え、それをさらに漢字の音読みで読む、二重の翻訳を通しているので、もはや言語の音ですらないし、当然それだけ聞いても理解できるわけがない。

  • 茂木「ドイツ語でもSie(敬称二人称)からdu(親称二人称)に変えるときは話し合って決めるとドイツ人に聞いたことがあります」

  • 養老「仕事の前提を詰めない。仕事をするためにはそんなことしないほうが絶対に有利ですから。兵隊が鉄砲持って前線にいる時に、戦争の意味なんて考えていたら邪魔になる」

  • 茂木「ライプニッツの「すべての可能世界のなかでこの世界が最善世界である」という話とかも、現代的な文脈でおもしろい」

  • 養老「高密度の人間社会ではルールがすごく強くなります」

  • 養老「目立つときは自費でやれ」

  • 東「この国には、ほんとうの意味で「公」のことをやろうとしたら「私」でやらねばならないというねじれがある」

  • 南海トラフ巨大地震が来たら首都直下型地震や富士山噴火が連動する可能性がある

  • 1944年東南海地震(M7.9)は報道管制下にあった

  • 1923年関東大震災(M7.9)

  • 南海トラフ巨大地震が来たら、大阪では津波が川を遡って梅田まで入ってくる。そうなると大阪は壊滅する

  • 無論新幹線も駄目になる

  • 被害によっては、今のような生活を続けるのは無理になる。小さな自給自足の集団を日本中に置いておくしかない。

  • そうなってしまうと、強い隣国(例えば中国)に依存することになりそう

  • 災害に遭った日本に短期的に投資してくれる国はアメリカ(時間がかかる)ではなく中国


 「仕事の前提を詰めない」という部分、私なんかもタスクが多すぎるともうそれをこなすことでいっぱいになり、それが本当に必要かどうかなど考える暇がなく、ただこなす、という仕事ぶりを発揮してしまう。過剰・過重労働は人間をすり減らし、無感覚・無感情・無思考にする。ここは立ち止まって一息つく必要があるのだろうなあ、と自戒。

いいなと思ったら応援しよう!

sakazuki
よろしければサポートお願いいたします!更に質の高い内容をアップできるよう精進いたします!