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読書ノート 「大川周明」 松本健一
東京裁判で、被告席の前に座っていた東条英機の頭をパコンと叩いた人が大川周明である。当時、気が触れた(狂った)と言われていたが、その後回復し、余生は普通に過ごしていたようだ。狂ったふりをしたとの見方もあったが、やはり当時の切迫した状況や身体的・精神的ストレスと、梅毒罹患の影響で一時的に錯乱したというのが妥当な見方であろう。
第一級戦犯容疑者二八名のうち、唯一学者だったのが大川周明である。日本を戦争にアジテート、扇動した罪だが、果たして本当にそうだろうか。井筒俊彦がイスラムの原書を読みに東亜経済調査局の図書館に通えたのは大川の支援のおかげである。司馬遼太郎と井筒俊彦はその対談の中で大川を「ドイツ・ロマン派の日本的現れ」と評し、決して彼が独裁的な中華思想の持ち主ではなかったと言っている。
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