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とっておきの河合隼雄

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『こころの処方箋』を入り口に、河合隼雄を読む人も多いですが、その思想の奥には深遠な精神世界が渦巻いています。「夢」「カウンセリング」「共時性」をキーワードに、様々な著作をピックア…
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#無意識

読書ノート 「能動的想像法 内なる魂との対話」 J.M.シュピーゲルマン/河合隼雄 町沢静夫・森文彦 訳 

 河合隼雄は深遠な人である。日本神話の精神分析、日本の中空構造の提示、明恵の夢の仏教的取り組みなど、画期的な東洋の哲学的・思想的命題を提示したかと思えば、「嘘つきクラブ」では軽妙な洞話を吹く。かと思うと、深刻な患者には長期にわたり一心不乱にコミットし、文化庁長官などという官職をこなし、高松塚古墳のいざこざに巻き込まれ、その疲れもあってか急逝してしまう。人懐っこさから来るその普遍的な大衆の敬愛が意味するものとは正反対の遠面に位置するテーマとして、「共時性」や「集合的無意識」があ

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