700文字小説|でんとう
私はいてもたってもいられなくなって
家を飛び出した。
真夜中の寒い田舎が私の身体を痛めつける。
ここは何処、という所まで来てしまった。
知らない場所で独り。
幸いにも今夜は月明かりのおかげで
田んぼ道でもくっきり足元の土が見えるほどだ。
こんな時間に家を出るのではなかった.. 。
急に周りの静けさに気づき、
気持ちのまま飛び出してきた自分に嫌悪感を抱く。
だがあの家にいるよりはマシだと思う。
駆け足と早歩きを繰り返してきた脚は
徐々に疲れてきて。
一旦呼吸を整え歩いてみる。散策だ。
特に何も面白味がない道路を歩いていき
いっときすると遠く(数十メートル先)に
ポツンと輝いている電灯を見つけた。
周りを見渡しても不思議とそこだけらしい。
「何であんなとこに1つだけなの。」
私は理不尽に怒りを感じた。
他に無いならこの子はここにいらないし、必要ないと思うのに..。
なんだかんだ思いながらも近づき、
土にずっしり埋まっている根元を見る。
「こんなに大きいのに、こんな所に一人じゃ
か細い蝋燭みたいじゃない」
ぼそっと口に出した瞬間
あることに気づいた。
「私の心みたい」
18になったばかり、成人に一歩足を踏み入れて
節度のわきまえを求められる時期に
一体私はここで何をしてるんだろう。
戻らないと。こんな私でも帰る居場所はあるんだ。
電灯はここに一本だけでかわいそうだけど。
親の顔は思い出したくないが、
自分の部屋には帰りたくなり
しぶしぶ自分が通ってきた道を振り返る。
ほんと随分さびれた場所まで来たもんだな。
町に帰ろう。
一歩、また一歩と
落ちている石に足をとられないよう
灯りを頼りに注意しながら歩み始めた。
電灯の灯りに優しく照らされた、
私の帰るべき「居場所」への道を。
こんにちは。
上達衣織です!
これは高校三年生の時に書いた
ショートショートです。
多分これは授業中やることがない時に
隠れて書いていた物語かな..?🤣
誰にも見せずに眠らせていたものを
少しアレンジをしてみて
note投稿してみました。
コメント・スキ お待ちしてます‼︎
(喜びまくります!笑)